約 211,546 件
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/579.html
美鈴7 うpろだ1188 月の綺麗なある夜のこと。 吸血鬼のお嬢様は、変な人間に出逢った。 「貴女に、お願いがあります」 「ふうん? 試しに言って御覧よ。お前を試してあげるから」 「俺、いや私の願いは――」 そんな二人だけのお話。 鼻歌交じりに紅魔館の廊下を闊歩する小さな影。 彼女こそがこの館の主、レミリア・スカーレットその人である。 向かう先は紅魔館居候にして唯一の男手、そして門番長の紅美鈴と恋仲である○○の部屋。 大変に仲睦まじいその二人だが、どうにも度が過ぎたらしい。 なんとかしてくれと従者に泣きつかれてしまった。 だがレミリアとしてはそちらはどうでもいい。 寧ろ放置して楽しむべきだと思ったのだが、事態はそれよりもっと面白いことになっていたようで。 彼女の従者、十六夜咲夜もまた彼に想い焦がれていたという(本人は必死に否定していたが)。 ああ全く、どうして自分に教えてくれなかったのだろう。 そんなに愉快で素敵な色恋沙汰、混ざりたかったし掻き混ぜたかった! だからこうして、直々に態々。 張本人であるところの○○の部屋を訪ねることにしたのだ。 別にレミリアは○○を咎める気など毛頭ない。 仕事についても、色恋についても。 何故ならば、彼は彼女の出した約定に今もまた忠実であるのだから。 妖精メイド詰所から離れた客室の一つ。 ○○の部屋のドアをレミリアは開けた。 無論ノックはなし。 「今晩は、良い夜ね○○。元気にしてるかしら?」 「……これはこれはお嬢様、お蔭様で。今晩は、愛しい美鈴にかけて、良い夜ですね」 机に向かってペンを手に何やら書いていた○○は、最初からこの調子だった。 ぎしぎしと音を立てて椅子から立ち上がる。 レミリアは半開きのドアに寄りかかり彼の反応をうかがった。 こちらへどうぞと椅子を引かれてそれに腰掛ける。 音など、立つはずもない。 屋敷のそれの中では些か安っぽい調度品。 付け焼刃ながらも不快とまではいかない彼の態度。 特に目を引くものはない、ように見える。 「紅茶でよろしいですか? 普通のものしか出せませんが」 不器用に紅茶を注ぐその手つきはしかし、いつぞやと比べれば大した進歩だ。 いただくわ、と言いつつカップを取る。 何の変哲もない香りと味。 まぁ、それはいい。 「近頃はあまりかまってやれなかったけど、調子はどう?」 「絶好調です。何せ私には愛しい人がついているのですから。ええ、人はパンのみに生きるにあらず。愛を糧に生を 謳歌するのですね、ラヴ。世界の中心にはマントルが。しかし私と美鈴の中心にはそれよりもなお熱い愛が。先達は 素晴らしい言葉を遺して逝きました。我々の愛のために。ありがとう偉人、さようなら英雄。そしてこんにちは私の 可愛い恋人よ!」 なるほど、彼はいつもこの調子なのか。 聞いてもいない惚気をぺらぺらと語る○○。 咎めはしない。 彼女には視えていた。 下手に突付けば、喜々として朝まで説明せんとする○○の姿が。 机に置かれている、先程まで彼自身が手がけていた本。 タイトルには『愛の日々』。 「咲夜に聞いたわ。あんまり仕事に身が入らないそうじゃない」 「――ああっ!」 突如、大仰な悲鳴と共にその場に崩れ落ちる○○。 何故かコマ送り。 FPSが足りないのか彼とその周りだけ処理落ち気味だ。 「嗚呼、わかっているのです。職務に殉ずるべきだというのは。しかし、私めの言い分もお聞き下さいますかっ」 「言ってみなさいな」 なんと自分の職務態度に問題があることは自覚していたという。 崩れ落ちた姿勢そのままにさめざめと涙を流し、どこから取り出したのかハンカチを目に当てる。 美鈴の姿絵が刺繍されたそれは彼のお手製だ。 「今日の仕事中のことなのですが――」 薄闇の中、彼だけにスポットライトのような光が当たる。 どこから、どんなものが、どうやっているのかは全くもって不明だが。 どうやら回想が始まるようだ。 カップを片手にお嬢様、気分は安い劇の観客だ。 そう、今日の仕事中のことでございます。 私はいつもどおり花の世話をしておりました。 以前は美鈴自らが手がけた花壇は瑞瑞しく可憐で。 私にとっても花の一つ一つは、まさに彼女との愛の結晶に思えてならないのです。 しかし、悲しいかな。 その花々も彼女一人には及びもしない! 水をやり終え、ふと振り返ったその時です。 なんという偶然でしょう。 時を同じくして近くで警備の任に就いていた美鈴。 彼女も全く同時に視線をこちらに向けたではありませんか! 目が合う二人。 花咲くよう、という喩えが御座いますね? けれども足りない。 恥じらいを秘めながらも慈愛に満ちたあの微笑みには到底届きはしないのです! そんな彼女の元に走り寄り、抱きしめた私は愚かでしょうか。 いえ、たとえ愚行であったとしてもそれは愛ゆえに! 「――という訳でして。ああ、愛が重い。しかしその心地よさを抱いていけるのなら私は、私は!」 ウネウネと悶える○○。 独り善がり極まるその回想はしかし、どこからともなくSEが鳴るわ響くわ舞台効果満載、に見えた。 結局は惚気で手一杯頭一杯ということか。 まぁ、彼女にとってそれさえもどうでもいいことなのだけど。 一人芝居を満喫したレミリアはカップを傾けるが、既に飲み干した後。 カップの底には美鈴と○○の相合傘が刻まれており、飲み終えるとそれが覗く仕様だった。 御代わりを注ごうとする○○を手で制して立ち上がり、ふわりと音もなく浮かぶ。 茶は尽きた。 芝居の幕は下りた。 次は彼女の番だ。 「……お嬢様?」 くるりくるりと回りこんだは彼の背後、その首にしがみついた。 瞬間、ぴたりと○○の挙動は静止する。 その口からは惚気も芝居がかった台詞もでてこない。 いや、息すらも潜めているのだろうか。 「素敵な寸劇だったわ。なかなか良い役者じゃない、○○」 「光栄、です」 レミリアはクスクスと悪戯っぽく笑いながら背中に縋りつく。 幼子が負ぶさるように、だが支配権は彼女に。 腕の下から回した手は彼のさして厚くもない胸板をくすぐる。 肩にあごを乗せ、頬をぴたりと合わせて囁く。 「本当よ? 大した役者振りだわ。役に嵌り、役に浸り、自分すら騙すなんて」 タイをほどきボタンを外し、シャツの中に手を滑らせる。 じっとりと冷や汗に濡れた胸に掌をあてれば、その鼓動は早鐘を鳴らしていた。 「……お気付きでいらっしゃった」 「震えないだけマシになったじゃない」 思い出されるはいつぞやの夜。 ○○という只人は紅い悪魔を前にしてガタガタと震え怯えながら。 それでも一つの雇用契約を交わした。 その日その時から、彼は彼女の愉快な玩具だ。 運命の操り糸もないのに滑稽に踊るお人形。 もっとも、ここまで愉しく踊るとは予想外だったけれども。 「弁えた者は好ましい。それでいて予測がつかないのが、〇〇の愉快な所だけど」 「ひたすらに、光栄です」 耳元にあてた唇は弧を描いたまま、頬を伝って首筋へと。 緊張に引き攣る筋肉を舌で舐りながら室内のある場所を指で差す。 そちらに連れて行けという合図、いや命令か。 ギクシャクと棒のような足を引きずりながら、常よりも幾分時間をかけて○○は漸く其処、ベッドにたどり着いた。 途端、彼女はその上に彼を押し倒す。 その力は強く、体格の差など意味を成さない。 ギシリとベッドのスプリングが軋み、不恰好にもつれ倒れた○○を受け止めた。 「お嬢さ、ま……っ!」 「こっちを向きなさい、○○」 ○○は抵抗しない。 その上に覆いかぶさり強引に顔を身体ごと向かせて、レミリアは笑う。 互いの吐息を感じられるほどの目の前で。 それはそれは愉しげに、それはそれは嬉しげに、婉然と微笑みを浮かべた。 紅い目が爛爛と輝いて、紅い舌がちろちろと覗いて。 花咲くなどと生温い。 其は花を枯らす笑みだ。 全てを傲慢に吸い尽くした上で満足げに浮かべる、捕食者の哂いだ。 さあ○○、いつかの続きをしようじゃないか? 「美鈴が好き?」 「はい」 「愛してる?」 「はい」 「小悪魔のあの娘より?」 「はい」 「咲夜より?」 「はい」 「……この私よりも?」 「……はい、お嬢様」 レミリアの笑みが最早壮絶なまでに深まる。 一方で、奥歯を噛み締めて頬を引き攣らせる○○。 それもまた見方によっては笑っているように見えるかもしれない。 「この手で美鈴を撫でるの?」 「はい」 身を離し、○○の上に馬乗りになる。 シーツを握り締めていた彼の手を掴み、自らの白く滑らかな頬を撫でさせる。 「この腕で美鈴を抱きしめるの?」 「はい」 ○○のシャツに袖口から指を差し込み、びりびりと裂いていく。 露になる腕、その先の強張った指を口に含み、しゃぶる。 唇を指先から掌へ。 掌から手首へ。 ゆっくりとゆっくりと、血の巡りを辿って頬を滑らせる。 「この胸に抱かれて美鈴は眠るの?」 「はい」 腕を伝い、肩から胸へ。 最早ボロ布となって纏わりつくシャツを、紙屑のように引き裂く。 裸の胸に頭を乗せ、頬をぐりぐりと擦りつける。 耳をピタリと当てれば鼓動が響く、それはちょうど心臓の上。 息を深く吸えば、立ち昇る○○の血の匂いまでも嗅ぎ取れそうだ。 「――じゃあ、」 胸元から名残惜しげに這い上がり、鎖骨を通って、首筋へ。 胸と胸を合わせて頬と頬を擦らせて、頚動脈に鼻先を埋める。 「この血を、美鈴は飲んだ?」 うってかわって縋るような問いかけ。 両腕を背中に回し、○○が息苦しさを覚えるほどにきつく抱き、締める。 彼からはレミリアの表情は伺えない。 レミリアも、いま自分がどのような顔をしているかなど想像も出来ないだろう。 「いいえ、レミリア」 そう、と彼女は吐息と共にそれだけを漏らした。 身体の力が抜け、全てを委ねるように彼の身にしなだれかかる。 いつの間にか開放された彼の腕は、彼女を抱き締めないけれど。 「ねえ、○○。貴方の血は――」 ねえ、○○。 あの娘も口にしたことのない貴方の血は。 私への恐怖に怯える貴方の血は。 あの娘への恋心に満たされた貴方の血は。 私を前にしてなおも他の女への愛を謳う貴方の血は。 「きっと、歯が軋るほどに、甘いのよ」 歯の先で血管を上からなぞる。 ああ、どうしよう。 このまま契約を反故にして、彼の血を思うが侭に啜ってみようか。 このまま肉欲に溺れて、彼の身体を存分に味わってみようか。 どうするの○○? 何も言わないと、私は貴方をどうするかわからないよ? 「レミリア」 「! ん、ぁふ……」 ここにきて初めて、彼がレミリアを抱きしめた。 今夜初めて、彼自ら彼女を求めた。 戦慄くように翼が震えた。 脆弱で貧弱な腕の力に締められて、熱い息が漏れる。 小さな耳に唇が寄せられ、くすぐったげに肩をすくめた。 「……お願いが、あります」 「聞くわ」 刹那の惑いもなく即答する。 彼の提案は、彼女にとって時に何よりも優先される。 血も肉も、遂には埋めること叶わなかった、紅い吸血鬼の退屈を満たすが故に。 「私と美鈴に、部屋を一つ下さい。そこで二人が暮らすための」 「……それだけ?」 よくわからない頼み。 拍子抜け、期待外れ。 寧ろそれはどちらかといえば咲夜の領分だ。 彼女が耳を貸すには値しない。 それだけじゃあつまらない。 それだけじゃあ不合格だ。 これはあの夜の再試なんだよ、○○! そんなことで、レミリア・スカーレットは満たされないよ。 期待はそのまま失望に、そして新たに湧き上がる暗く純粋な欲望。 翼が夜を覆うように大きく広げられる。 犬歯が、今にもその首に突き刺さらんと鋭く伸びる。 「いいえ、もう一つ。私と美鈴の結婚式。その主催をお願いしたいのです」 瞬間、時が止まった、ように感じられた。 少なくともレミリアにとって。 彼の血ではなく、その言葉を舌の上で転がして咀嚼して、漸く言葉を解する。 パッと起き上がり、完全に毒気を抜かれた顔つきでパチパチと目を瞬かせる。 まじまじと○○の顔を見つめた。 その顔は冗談を言う顔じゃない、大真面目なもので。 またこの男は、彼女の予想を表から切り捨ててくれたのだ。 「っふふ、くふ、ふふふ。ふはっ、あは、ははは。はふっ、ぅく、くくくくっ……」 堪えきれなくなったのか、レミリアは遂に吹き出した。 そのまま彼の上で笑い転げる。 童女のように、鈴を転がすように、ころころと笑い続けた。 「――ふぅっ、はぁー。私も泣かされちゃったわ」 何とか呼吸を整え、目尻に浮かんだ涙を拭う。 もう先程までの威圧感はレミリアから失せていた。 無邪気な少女のように、いまだ抜けきらぬ余韻にくすくすと小さな笑いを漏らす。 もっとも、相変わらず半裸の○○の上に馬乗りになっているのが今となっては些か不釣合いだ。 「いい加減、どいてはいただけませんかね……」 「んー? んー、ふふっ」 含み笑いを浮かべ、また胸の上に寝そべった。 手を伸ばして○○の顔を両手で挟む。 ぎくりと音が聞こえるくらいに表情を強張らせる○○。 まだ彼女を満足させるには足りなかったのかと。 「ああ、心配しなくてもいいよ。○○の願いを聞いてあげる。レミリア・スカーレット、一世一代の結婚式典を催して あげるわ。愉しみになさいな」 「それはそれは、有難いことです」 それはそれとしてもう一つだけ。 今夜最後の質問を、報酬代わりに受け取ることにする。 顔を、今度は互いの吐息を吸い込めるくらい近づけて。 これくらいはいいでしょう、○○? 「ねえ、この唇で、美鈴とキスはしたの?」 答えようと開いた口を、自らの小さな口で塞ぐ。 そのまま唇を深く深く、貪るようにぐいぐいと押し付けた。 ○○の目が驚きに見開かれ、レミリアの目は恍惚に細められる。 「んっ――は、はぁ。んぅ、んんっ、んはっ、ぁは、ふっ。んむ――」 なんて気持ちがいいのだろう。 触れ合わせた唇は、ぴりぴりと電気が走るよう。 絡ませた舌と舌は、蕩けて一つになったみたい。 こうすれば○○に何も言わせることなく血を吸えるのではないかと、酷く魅力的で絶望的な案を思いついた。 けどきっと無理だろう。 こんな、こんなにも気持ちのいいことをしながら、他の事なんて何も出切るわけがない! 「――ん、ちゅ、じゅっ。ぷ、はぁ――」 暫くの間、息をするよりも優先させて○○の唇を貪り続けた。 そうして漸く満足したのか、彼を解放する。 酸欠に喘ぎ息も絶え絶えといった感の○○。 彼の胸から退き、ご満悦といった様子のレミリア。 僅かにその頬が赤みを帯びているのは、決して酸欠などではないだろう。 それをいうなら○○も同様ではあるが。 「は、ふぅ、はぁ。お嬢さ、ま? お帰り、ですか?」 スキップでもしそうな足取りで扉へと向かう彼女に、ベッドから身を起こして尋ねる。 僅かに期待と安堵が視えたが、今の彼女はそんなことを気にもとめないくらい上機嫌だ。 この部屋を訪ねた時より、遥かに。 「えぇ、今夜はもういいわ。本当に、愉しかったわよ? ○○」 お休みなさい、とかけられた労いに。 同じく返そうとした○○だが、ふと思いとどまる。 人は夜に休む。 明日を迎える為、その次の夜を待つ為に。 ならば、彼女は? 夜に生き、夜を謳歌する彼女にかけるに相応しい挨拶は? 少し考えてこう言った。 「お愉しみくださいませ、お嬢様」 明日の夜を、そのまた次の夜を。 バタンと閉められる扉。 今夜最後に、○○が見たレミリアの表情は。 夢に出るくらい可愛らしい微笑みだった。 ○○の部屋をあとにするレミリアの頭の中は、式の計画で一杯だった。 日取りは? こういったことは早いほうが良いに限る。 いや、しかしあまりに急だと余裕がないように感じられるか。 もったいぶるのが大物らしいかもしれない。 そう、○○が焦れて焦れておねだりをしそうになったくらいが丁度いいかも。 招待客は? 招かなくとも来る連中は放っておこう。 盛大な式に音楽はつきもの、樂団を忘れてはいけない。 記事を書かせるためにもブン屋は――待てよ、事前に嗅ぎつけられては堪らないな。 だとするなら、招待状は直前に。 都合が付かない奴は……もういいや、召喚状ということでいいだろう。 神前でなど誓わせるものか。 私の名の下に――いや待て待て。 あくまでも私は主催者なのだから、兼任するのは美しくない。 いつぞや咲夜に聞いた閻魔とやらにやらせるか、それっぽい仕事をしてた気がするし。 料理は? 規模は? そもそも結婚式ってパーティーと何が違うんだっけ? ああもう、決めることがあとからあとから前からも。 本当に、本当に―― 「愉しみで、しょうがないじゃない」 歩みを止めれば、窓から差し込む月明かり。 今夜も幻想郷から見える月は美しい。 奇しくも月の形は、あの夜と同じものだった。 それは邂逅の夜、始まりの夜。 「――貴女の屋敷に置いてください。それが、私の願いです」 いったい何を言っているのだろう、この人間は。 こんなにもみっともなく震えているのに。 目の前の彼女をこんなにも畏れているのに。 その住処に連れて行けという。 私が怖くはないのかと、彼女は尋ねた。 「怖い、怖いけれどそれよりも何よりも、」 屋敷の住人に恋をした、それが何よりも大事だと。 レミリア・スカーレットを前にして、只の人間が。 命乞いの一つもせずに、恋をしたとほざいてみせたのだ。 「愉快なことを言うのね、お前」 変な人間、可笑しな男、愉快なことをいう奴。 初めて見る種類の人間に興味が湧いた。 よって彼女は一つの条件を出し、それを契約とした。 「その調子で、面白いことを言いなさい。 そしたら私は貴方を置いてあげる。 これは約束よ。レミリア・スカーレットの名に誓う。 貴方が私を愉しませている限り、私は貴方を殺さないわ」 彼に是非があろう筈もない。 ここに契約は成った。 それで、貴方の名前は? ――そう、○○。 じゃあよろしくね○○。 そしてようこそ。私の屋敷へ、私の夜へ。 他でもない私が、貴方を歓迎するわ。 闇夜における全てを哂う、三日月の映える夜のことだった。 新ろだ283 「ただいまー」 大寒も過ぎて後は春を待つばかり、とは言え依然として寒い中、我が家の扉をくぐる。 とたんにぱたぱたと小走りに駆けてくる足音が聞こえた。 「おかえりなさい! 寒かったでしょう?」 靴を脱いで顔を上げると、いつものように暖かな笑顔の美鈴。 立ち上がって廊下に一歩踏み出すと、 「じゃ、いつものおまじないです♪」 俺の両手が美鈴の両手に包まれる。 じわり、じわり。 凍えた手の感覚が戻って行く。 寒い季節になると毎日行われる我が家の儀式。 と言うと大げさなのだが、美鈴は飽きもせず続けている。 その内にあったまるからと言うのだが、 『頑張ってる旦那様のためですから、これくらい当たり前です』 などと、照れもせずに言うのだ。 そのたんびに俺はドキドキする。 「今度はあなたから、おまじない…して下さい♪」 そう言うと美鈴は目を細め、顎を上げる。 手は握ったまま。 そして桜色の唇を薄く開き、その時を待っている。 「んっ…」 最初はふんわりとした、鳥が啄むようなキス。 回数を重ね、互いの唇の暖かさを確かめていく。 「ふふっ、やっぱりドキドキしますね」 何度目かの軽いキスの後、美鈴は悪戯っぽく微笑むと再び顔を上げる。 「俺だってドキドキしてるよ。可愛い嫁さんとキスしてるんだから」 返す刀でキスを再開する。 目を閉じ、全ての感覚を唇に集中させ、互いの息が続くまで重ね合わせる。 大抵は俺が先に息を切らせてしまうのだが。 「は…ぁっ」 上気した頬、唇、瞳に艶が乗っている。 ああ、可愛いなぁ。やっぱり。 「お邪魔するわ」 「わひゃぁい!?」 唐突な声にびっくりして後ろを向くと、紅魔館のお嬢様が立っていた。 「あ、お嬢様、どうされました?」 俺の手を握ったまま、全く動揺していない美鈴が呼びかけた。 「ええ、今夜は予定もないし、ちょっと思い出した事もあってね」 どこか含みのありそうな緩んだ表情。 「ま、手ぶらっていうのもなんだから、はい」 渡されたのは焼酎の一升瓶。 見るからにかなりの上物だ。 寒い日に食べる鍋物は格別だ。 そして今夜は来客と共に軽く呑みながら囲んでいる。 「それにしても、わざわざこちらへなんて珍しいですねぇ」 「何言ってるの。あなたたち、今日で1年でしょ?」 あ。 二人まったく同時に出た一音。 別に忘れていたわけではないのだが、そう言えばそうだったなと。 それを聞いたレミリアは呆れ顔。 「まったく… いつまでも新婚気分なのもいいけど、せめてその日くらいは心に留めておきなさい」 「あはは… あ、それで、さっき言ってた『思い出した事』って?」 「あの“宴会”の事よ」 あー、そういやあれから美鈴との仲が一気に縮まったんだった。 とは言え、その時の事は良く覚えていなかったり。 そんな雰囲気を見て取ると、含みを通り越したニヤニヤ顔をするレミリア。 普段の彼女を知る身としては、こういう表情もできるのかと少し驚く。 「ちょうどいい機会だから、あの時の一部始終を話そうと思ったのよ」 そう言うとコップを空け、訥々と話し始める。 その内容は、以下のようなものだった─── ========================== いつものように人妖入り交じった博麗神社での宴会。 今回はそこに俺と、まだそんなに仲がいいというわけではなかった美鈴もいた。 俺はすでに美鈴に恋心を抱いていたのだが、どうしても最後の一歩を踏み込めずにいた。 そのモヤモヤを振り払うように慣れない酒を最初はちびちびと、そしていつの間にかペースが上がり、すっかり酔っぱらってしまっていた。 そこへやってきた館のお嬢様。 さすがにアルコールの許容量が段違いなのか、まだまだ素面と言っても良かった。 「あら、ずいぶん出来上がってるわね」 「あー、お嬢様、今日は月が綺麗ないい天気れすよー」 ぺこりと頭を下げ、空を見上げた。 「…そうね。ほら、美鈴、ちょっと来なさい」 「んー? 美鈴?」 俺は少し千鳥足でやってきた美鈴を見て言った。 「ほら、美鈴、足が危ねぇぞぉ」 「何言ってるんれすか、これくらいまだ大丈夫れしゅー」 「お前こそ何言ってるんらよ、フラフラしてるりゃねーか」 ゲラゲラ笑う俺にちょっとムッと来たのか 「ほりゃっ」 コップを俺に突き出した。 「お? まだ呑めってか? おう、呑んでやりゅよ」 言うが早いか出されたコップを奪い取って中の液体を飲み干していく。 「おー、見事見事♪」 かんらかんらと笑う美鈴。 その笑顔が俺に火を付けたのかもしれない。 「なー、美鈴ー?」 「んー? なんれしゅか?」 「俺はなー、美鈴に惚れてるんだよぉ」 「あははは、私に? 惚れてりゅんですかー?」 「ああ、ずーっと前から惚れてるんだよぉ。けどなぁ、中々言い出せなくってさぁ」 「えー? 普通に言ってくれればいいじゃないれすかぁ」 「言えるわけねぇだろー」 「いや、言ってくらさいよー」 「だから言えねぇってば」 「気になるじゃないですかぁ」 その時の俺は、盛大に、完全に、これ以上なく酔っぱらっていた。 そんな状態での思考回路は当然ながらマトモではない。 「しつけぇなぁ、言えねぇったら言えねぇの!」 少し言葉に棘が出てしまう。 こうなってしまうと、後は売り言葉に買い言葉。 「そんな言い方ないれしょう! お姉さんに全部話しなしゃい!」 「俺より若く見えるくせにお姉さん言うな!」 「残念でした、あなたよりずーっと年上れすから!」 「だからだよっ!」 そのとたん、俺の中で何かが弾けた。 「俺は人間で! 美鈴は妖怪っ! どうしたって俺は美鈴より先に逝っちまう!」 狂ったように声を絞り出す。 「だから俺は美鈴の事がどんなに好きでも、一緒になるわけにはいかねぇんだ!」 もう自分が何を言っているのか、わからなくなってきていた。 「美鈴を悲しませちまうから! だから! 俺は美鈴とは! 美鈴とは…っ!」 気づけば、俺は泣いていた。 なぜか酔いも醒めていた。 顔を真っ赤にして、涙でぐちゃぐちゃになって、手にはコップを握りしめたまま。 「だから、なんなんですかっ!」 一際大きな、凛とした声。 俺の目の前に美鈴の顔があった。 「いつだったか、あなたは自分の事をこう言いましたよね? 莫迦だ、って! 不器用だ、って! 卑屈だ、って!」 いつもの朗らかな表情は崩れ、眉は釣り上がり、眉間に皺まで寄せている。 「それがどうした! 本当じゃねぇか!」 「冗談じゃありませんよ! あなたはいつも真っ直ぐじゃないですか! 丁寧じゃないですか! 誰にでも優しいじゃないですか! しばらく見てれば私じゃなくたってわかります!」 俺を見据えた深く蒼い瞳の中に、ギラギラした炎が見えたような気がした。 「人間だとか妖怪だとか、そんなの関係ありません! 私もあなたが好きなんです! どこまでも真っ直ぐなあなたが好きなんですっ!」 言うやいなや、俺の頬を両の手の平で包み込み───キスをした。 閉じられた瞳、長く綺麗な睫毛、そして暖かな唇。 さっきまで荒れに荒れていた俺の心に、風が吹き込んだ。 それはどこまでも柔らかく、とてもやさしい風。 いつしか俺は美鈴を抱きしめていた。 俺は莫迦だ。 美鈴の言うとおりだ。 今日、この時まで自分で全て抱え込んでいた。 けれども、もう考える必要なんて、ない。 「美鈴」 「…はい」 抱きしめている腕により力を込めて言う。 「俺の最初を奪った責任、取ってくれよ?」 一瞬、美鈴は面食らったような顔をしたが、 「私の最初を捧げた責任、取って下さいね?」 満面の笑顔。 もう迷わない。 今度は自分から、美鈴と唇を重ねた。 周りはやんややんやの大喝采。 ======================== 「とまぁ、こんな感じだったわ」 俺はあまりの恥ずかしさに、コップの酒をあおった。 一方、美鈴はニコニコしながら 「実は…あの少し前から、そうなんじゃないかなーって思ってたんですよ」 「へっ?」 思わず間の抜けた返事をした俺に 「いつか言ってくれるかなぁ、って思ってたんですけど、なかなか言ってくれないから」 悪戯っぽく笑って言った。 「お嬢様にセッティングしてもらったんです♪」 おいおい。 参ったねこりゃ。 「さて、ずいぶん邪魔しちゃったわね」 お嬢様は立ち上がって玄関へ。 そして俺たちの方を向いて一言。 「それじゃ、ごゆっくり」 二人で頭を下げ、見送る。 ほぅ、と息を吐く。 「なぁ、美鈴」 「なんですか、旦那様?」 俺はニヤリと笑って 「なんでもないっ!」 美鈴の頬にキスをして、居間の炬燵までダッシュした。 めーりんとの話その2(うpろだ1498、その1は新ろだ283) 夕暮れ、と言うには少し暗くなりすぎた道を走る男が一人。 まぁ、俺なわけだが。 俺は我が家に向かって走っていた。 とにかく早く我が家に帰りたかった。 なぜなら─── ================================================================ 「ただいまっ!」 息せき切って玄関をくぐると、美鈴がいつものようにぱたぱたと小走りにやってくる。 「美鈴!」 「はい?」 「火の元の始末は!?」 「えっと… もう大丈夫ですよ?」 ぎゅうっ。 聞くが早いか俺は美鈴を抱きしめた。 「ひゃっ!? ど、どうしたんですか急に?」 さすがに少し驚いたらしい。 目を白黒させている。 「ごめん。しばらくこのままにさせてくれないかな」 自分の声があまりに弱々しい事に気づく。 そして美鈴を抱いた腕にはますます力がこもっていた。 「何があったかわかりませんけど… あなたの気が済むまで、いいですよ」 やさしい声と体の温もりが心地よい。 俺は、すうっ、と美鈴の髪の香りを嗅いだ。 「ああ…、いつもの、いつもの美鈴の匂いだ…」 愛しくて愛しくて。 どこまでも愛しい妻が俺の腕の中にいる、という事実を改めて噛みしめる。 美鈴は何も言わず俺に抱かれたまま。 たっぷり10分はそうしていただろうか。 少し未練を残しながら美鈴から離れる。 「ごめんな、ご飯が冷めちゃったかもしれないな」 「大丈夫です♪ 今日も頑張っちゃいましたから、早く食べましょ♪」 美鈴は笑顔で俺の手を引いた。 ================================================================================ 「おー、すげぇ」 今日のメインディッシュは兎肉のソテー。 具だくさんのポテトサラダにクリームスープ。 そして籠にはこれでもかと盛られたロールパン。 「今日は何かあったっけ?」 「んー、そういうんじゃないんですけど、なんとなく」 「なんとなくでこんな豪勢な晩飯になるの?」 「いいじゃないですか。たまには♪」 そんなやりとりをしながら夕餉は進み、食後のお茶の時間になった。 「それで」 「ん?」 「今日はどうしちゃったんです?」 心底心配している顔だ。 美鈴はいつもこうだ。 俺が笑うと一緒になって笑い、俺に元気がないと一緒にしゅんとする。 「んー… 聞いても笑わないでくれるか?」 「笑うわけないじゃないですか」 意を決して。 「実はだな」 「はい」 「甘えたくなった」 「…」 ちなみにこの三点リーダーは俺と美鈴の二人分だ。 「ぷっ」 しばしの沈黙の後、辛抱たまらなくなったのか美鈴が吹き出した。 俺は少しむくれて 「何だよ、笑わないって言っただろ」 「ふふっ、ごめんなさい。何て言うかその、すごく可愛い理由だなって思ったら、つい」 「悪かったな」 「ほらほら、機嫌直して下さい♪」 さも楽しそうに微笑む美鈴。 「今日、仕事しててさ、弁当食べて一服してたら」 「ええ」 「ふと、美鈴の事を考えてて」 「はい」 「なんでだかわからんけど、急に不安になったんだ」 「?」 「本当になんでだかわからん。で、気が付くと美鈴の事で頭がいっぱいでさ」 「はぁ」 「それでだな、甘えたくなった」 「本当に脈絡がないですけど… でも、嬉しいです」 目を細め、どこまでも暖かな笑顔。 「あなたの初めてを、また知っちゃいましたから♪」 ================================================================================ 「じゃ、今日はずーっと甘えちゃって下さい♪」 お茶を飲み終え、少しまったりしてきた所で美鈴はそう言った。 「いや、そこまで張り切らなくても」 「だって可愛い旦那様が求めてるんですから、それに答えるのが妻というものです♪」 すっかりやる気満々だ。 つーかだな。 その。 なんだ。 可愛すぎて、困る。 「んしょ」 隣に座ると、えへへと笑って俺の頭を自分の胸元へ抱き寄せ、すんすんと俺の髪の匂いを嗅ぐ。 「タバコも吸うし、今日は汗かいてぐちゃぐちゃになってるから色々臭いだろ?」 「あなたの匂い、私は好きですよ?」 「そりゃどうも」 「…そう言えば」 「ん?」 「私に甘えてくれるのって、初めてですよね」 「あー、そうだったっけか」 「そうですよ、だから今日はちょっとびっくりしてるんです」 「初めてついでに、洗いざらい話ちまうかな…」 「…」 「俺さ、ここに来てから… その、家族、っていなかっただろ?」 「…」 「紅魔館のみんなは、こんな俺に家族みたいに良くしてくれてさ」 「…」 「でも、どこかにどうしようもない“線”ってのがあるなって思って」 「…」 「やっぱり“他人”なんだよな、ってのがあって遠慮、というか何というか」 「…」 「でもさ、美鈴は何かにつけて俺の話を聞いてくれて」 「…」 「気づいたら、そんな美鈴が大好きになった」 「…」 「美鈴も俺を受け入れてくれた」 「…」 「“家族”になってくれた」 「…」 「前に言ったよな、俺は人間で、美鈴は妖怪だ、って」 「…」 「俺は何の取り柄もない、美鈴に何かあっても守ってもやれない弱い人間だ。でもな」 「…」 「俺は命を賭けて美鈴を愛する。心の底から」 「…」 「…まぁ、虫の良い話だよな。 ああ、俺は何の話をしてるんだろうなぁ」 思わず自嘲してしまう。 ぎゅっ。 美鈴の腕に力がこもった。 しかしそれはどこまでも優しく、暖かさに満ちた抱擁。 「辛かった、んですね」 「ごめん、あー、なんかダメだなぁ。すっげぇ弱っちかったんだな、俺」 「誰だって、そうですよ。私だって」 「ごめんな」 「謝る事なんてありませんよ。私、とっても幸せなんですから」 「ああ、俺だって幸せだ。幸せすぎて怖いくらいに」 その時、俺はなんだか急に泣きたくなった。 なぜだろうか、さっぱりわからない。 何かの感情が爆発しかけていた。 そうだ。 しばらく忘れていたそれは─── 「何度も“ついで”が出来ちゃって悪いけど、俺、泣くぞ」 美鈴は全てをわかったように微笑み、俺は美鈴の腕の中でしばらくぶりに泣いた。 悲しい涙じゃない。 悔しい涙でもない。 幸せに満たされた心を確かめるように、噛みしめるように泣いた。 その涙を、その気持ちを。 全て、美鈴にさらけ出す。 ================================================================================ ぱちり。 目を覚ますと、美鈴の顔が見えた。 「可愛い寝顔でしたよ♪」 どうも泣き疲れて少し寝てしまっていたらしい。 その間、美鈴は膝枕をしてくれていた。 のそりと体を起こす。 「今、何時くらいだっけか」 「えっと… 9時前くらいでしょうか」 「うへ、すぐ風呂沸かすから、ちょっと待っててくれな」 「はい♪」 速攻で風呂を沸かし、それまで長々とわがままに付き合ってくれた美鈴を先に入らせる。 その間に片づけを忘れていた湯飲みなどを洗っていると、なんだかいつもより早く上がってきた。 「お風呂、ごちそうさまでした」 「妙に早かったんじゃない?」 「ふふっ♪」 含みのありそうな笑い。 「さ、早く入らないとお湯がぬるくなっちゃいますよ?」 色々考える間もなく、風呂場に押されて行ってしまった。 「ふぃー…」 たっぷりとした湯に肩までつかり、おもわず口から溜息が漏れる。 昨日今日と久々に重労働だったからなぁ… 精神的に。 だからなのかねぇ、アレは。 とりとめもない事に色々と思いを巡らせていると 「お邪魔しまーす♪」 「待てぇーーーーーーーーーーーーーーい!」 すかさずツッコミを入れてしまう。 「背中でも流してあげようかなーって思って」 「その前にその格好は何だっ!?」 スクール水着。 ご丁寧に胸の部分に名札がついている 3-1 紅 美鈴 妙に達筆だし。 つーかだな、この家のどこにそんなもんがあったんだよ。 「えーっと、紫さんが『マンネリにならないように』とか言って、この間」 「あんのスキマ妖怪は全く…」 にしても。 色々と反則だ。 微かに幼さの残る愛らしい顔に、色々と“女性”を主張する体つき。 ふくよかな胸、適度に引き締まったウエスト、安産型のヒップライン。 そして適度にむっちりとした太もも。 正直に言おう。 全てが俺好みだ。 間違っても、断じて、“そういう体だから美鈴を好きになった”んじゃない。 俺が好きになった美鈴がそういうプロポーションだった、というだけの事だ。 それをさらに強調するかのように包む紺色。 「えっち」 少しジト目だ。 「悪かったな。美鈴だからだよ」 「冗談です♪ さ、体洗いますよー♪」 美鈴はそう言うと、問答無用で俺を湯船から引きずり出し─── 疲れを取ろうと風呂に入ったのに、さらに疲れてどうすんだ。 ああ、精神的に満たされたからいいのか。 お互いに。 ================================================================================ 月が、高い。 気づけばそれなりに遅い時間。 風呂から上がって一息ついて、あとは寝るだけだ。 奥の部屋には布団が一組。 「一緒に寝ましょ♪」 いい笑顔の美鈴。 二人一緒に布団に入る。 冷たかったのは最初だけで、あっという間にぬくぬくになった。 「今日の仕上げと行きましょうか」 そう言うと美鈴は俺の頭を自分の胸に寄せた。 とくん、とくん。 静かな夜の静寂。 かすかに聞こえる心臓の鼓動。 どこかで聞いたような懐かしい音。 とてもとてもやさしい音。 だんだん瞼が重くなってくる。 美鈴は静かに歌い出した。 初めて聞く歌だが、何かの子守歌だろうか。 彼女の名前のように、軽やかで心地よい鈴のように澄んだ美しい声。 俺は無意識に美鈴を抱きしめていた。 それに応えるように美鈴も。 心がもっと温もりを求めている。 こんなにも好き合っているのに、心も体も何度も重ねているのに。 それなのに、今日はどうしちまったんだろう。 わがままだ。 どうしようもなく。 ふと、顔を上げると美鈴と目が合った。 今は蝋燭の灯火だけの部屋。 その火に照らされた美鈴の瞳はどこまでも澄んでいて。 いつも見ている顔なのに、俺はいつもドキドキする。 手を握る度に、抱きしめる度に、笑顔を見る度に。 ああ、多分、俺は─── 今でも美鈴に“恋”をしてるんだな。 そんな事を考えていたら 「おやすみなさい、私の大事な旦那様♪」 その言葉と同時に、俺の額に熱い点ができた。 End. ============================= 「私が少し指を動かすだけで、あなたはずっとその娘といられるのよ?」 扇子で隠された口からくっくっ、とさも愉快だという風な笑い声が聞こえる。 「お断りします」 きっぱりと言った俺は内心、怒り狂っていた。 目の前の大妖怪に。 「───何ですって?」 ピクリと眉が上がり、声のトーンが変わった。 「はっきり言っておきましょう。俺は人間として美鈴を愛し、人間として死にます」 (追加妄想終了) めーりんとの話その3(うpろだ1500) 「「ふあぁ~…」」 しばらくぶりに晴れた今日は小春日和。 俺と美鈴は縁側で並んで茶をすすっていたのだが、あまりの陽気に揃ってあくびをして いた。 「美鈴?」 「ふぁい?」 「すまんけど、膝を貸してくれ」 突然の申し出に半分船をこいでいた美鈴は『いつでもいいですよ♪』と言うように膝を ぽんぽんと叩く。 「あ」 「ん?」 「なんだか唇が荒れてませんか?」 俺の顔をのぞき込み、ちょっと心配そうな口ぶり。 「あー、冬だしなぁ。なんか荒れやすいんだ」 「いつも使ってるのはどうしたんです?」 「とうとう昨日弾切れしたよ。こっちじゃ手に入らないから半分諦めてる」 眉間に皺を寄せ、しばし考え込む。 しばらくの間の後にはたと手を打って 「そうだ。蜂蜜だ」 「蜂蜜…ですか」 「寝る前に蜂蜜を唇に塗って寝るといいとか、前に聞いた事がある」 そんなわけで縁側に蜂蜜を持ってきたのだが、美鈴は壺から蜂蜜を取り出すやいなや 自分の口に塗り始め、 「塗るのは寝る前なんだけどなぁ」 とボヤく俺に─── 「そういうの、反則だぞ」 言いつつも頬が緩んでいる俺に、少し頬を染めた美鈴。 「潤ったところで、お昼寝の続きはどうですか?」 「いい夢が見られそうだよ」 ───急速潜行。 ================================================================================ その30分ほど後の事。 「…」 影がひとつ。 「やれやれ、今日の紅茶は砂糖抜きで決まりね」 ポツリと呟き、そのまま引き返す。 眠っている二人の手は、しっかりと握られていた。 End.
https://w.atwiki.jp/ryonanist/pages/182.html
儀水鏡の反魂術 GALACTIC OVERLORD(GAOV)で登場する通常罠カード。 リチュア・エミリアが虚ろな表情で、口も半開きで倒れているのが確認できる。 DUEL TERMINALのストーリーから考えればこの時点でエミリアはインヴェルズに取り込まれた後に死亡しているはずなので、イラストに移っているエミリアは死体であるという事になる。 また、リチュア・エミリアがカードイラストでリョナられるのは儀水鏡の幻影術に続き2回目となる。 更に補足すると、死んだ状態でカードに登場した女性モンスターは彼女が初めて。 (破壊神の系譜のホーリー・エルフも今にも死にそうではあるが) ブラック・マジシャン・ガール等がアニメでのリョナ要員なら、リチュア・エミリアはOCGでのリョナ要員と言ったところか。
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1344.html
美鈴11 新ろだ390 「こんにちわー!○○です!誰かいませんか!」 大きな紅い館の門前で男が張り叫んでいた。後ろには大量の樽やら俵やらが詰まれている荷車があった。 普段ここには門番の紅美鈴という女性が立っている。その美鈴に荷台を引き渡して代金を得る。彼は配達を生業とする人間であった。 が今日に限ってその美鈴はどこにもいない。何度かここへは配達しているが、こんな事は初めてであった。 門にも鍵がかかっている様で入る事も適わない。荷車を置いて帰るような無責任な事も出来ない。 もう一度叫んでみようかと彼が息を吸い込んだ時であろうか。 「聞こえてますからそれ以上叫ばなくて良いですよ」 そう言い、美鈴がこちらへと降りてきた。 「遅れてごめんなさいね、館の中で用事をしてたもので」 「いえそんなに長い時間待たされた訳でも無いので気にはしてませんよ」 「それじゃ注文された分が揃っているか、確認の方お願いします」 そう言い彼はポケットの中から注文表を彼女に手渡した。 「………はい、全部揃ってます。いつもながらありがとうございます」 確認を済ませると表に判子を押し、彼に代金と一緒に渡した。 「毎度どうも。次も御ひいきにして下さいね。」 挨拶をし、荷車を引いて帰路に就こうとした時 「あ、○○さん。待たしてしまったお詫びにお茶でも飲んでいきませんか?」 「それともこの後も仕事の用事があったりしますか?」 「この後は…今日はこの配達だけで終わりですね」 「だったら是非!美味しいお茶の葉があるんですよ!」 「な、ならご馳走になろうかな」 彼女の勢いに押されてではあるが彼はご馳走に預かる事になった。 門から入りしばらくの間広大な庭を歩いていたのだが、次第に館の方から逸れていく事に彼は気づいた。 「あれ?館の中に美鈴さんの部屋があるんじゃないんですか?」 「実は庭の方に私の家があるんです。…決して仲間外れにされてる訳ではありません」 「そうなんですか、てっきり中で生活してるものだと思ってましたよ」 あれこれとやり取りをしていると、どうやら彼女の家に着いた。 あまり大きくは無いが、大人の女性が住むには十分なくらいの大きさであった。 その辺に荷車を置かせてもらうと、家の中へと通された。 「お邪魔しますよ…。」 家の中は生活に必要な物が大体揃っていた。そして奥には何故か銅鑼が一つ置いてあった。 「これは…銅鑼?何でこんな物が家の中に?」 「ちょっとお休みを貰った時に村の骨董品屋で見つけたんです。懐かしいと感じたらいつの間にか買ってて」 「分かります、買うと思ったらもう買ってなきゃいけないんですよね」 「買った!なら使って良いんですよね。そこに座ってくつろいでいて下さい」 クスクスと笑いながら、彼女は台所へと入っていった。 少し経つと盆に急須と湯呑みを二つ乗せて彼女が台所から戻ってきた。 「お持たせしました。今日は○○さん待たせっぱなしですね」 「自分は待つのも待たされるのも好きな性分なんで、気にしてないですよ」 湯呑みを二人分机の上に置き、急須からお茶を注ぐ。 「どうぞ、入れたてなんできっと美味しいはずですよ」 口に入れると普段飲むものとは全く違う味だった。 「これは…?緑茶や麦茶じゃないみたいですけど」 「これ私のいた国のお茶なんですよ。烏龍茶って言うんです。」 「確かに美味しいですね。もう一杯貰えますか?」 「はい、どうぞ。まだ沢山入っていますから、遠慮せず言って下さいね」 楽しい時間はあっという間に過ぎていく、気づけばもう夕暮れ時になっていた。 夜になれば妖怪の時間、人間である○○が無事に帰れる保障など無くなってしまう。 「とと、もう日が暮れてきたのか…そろそろ帰る時間だな」 「えっ、もうそんなに時間が経ったんですか?」 窓から差し込む光は橙色。確かに夕暮れの証拠であった。 「残念です…。もう少し○○さんと話していたかったんですが…」 「なら、今度の木曜日にまた来て良いですか?仕事抜きで」 「でしたら、その時は…あの…何ていうか」 もじもじと美鈴は口ごもり、緊張さえも見て取れる。 「…その、あの、その時は…泊まっていきませんか!」 緊張しすぎて声の調整が出来なかったのか、かなり大きく家の中に響いてしまった。 「……ならお言葉に甘えて次は泊まらせてもらおうかな」 その返事を聞いて、彼女の顔には喜びの色が広がっていった。 「ほ、本当ですか!?」 「嘘を言ってどうするんですか。それじゃ自分はこの辺で」 そう言うと彼は家を出て荷車の元へと向かった。 門前まで美鈴に送ってもらい、彼は村へと帰っていった。 彼がやってくるその日が待ち遠しくて仕方無い。 別れた傍からもう彼女はそんな事を考えていた。 新ろだ459 「あ゛ー……頭いてぇ」 紅魔館の廊下を歩きながら俺は呟く。理由は分からないが、朝起きて暫く経ってか ら急に頭痛がしだしたのだ。特に何かした覚えもないのに、決してひどいわけではな いが無視できない痛さを感じながら前へ進む。 「あれ、○○さん。どうかしたんですか?」 声をかけてきたのは紅魔館の門番、美鈴。なんかあだ名が中国とか言われて、よく 凹んでいる。 「美鈴か……ってー」 喋ると地味に痛い。なんなんやろね、これ。幻想郷に来てから暫くお世話にならな かったとはいえ、この頭痛は慣れない。 いや、頭痛なんて慣れるものでもないけど。 「頭痛いんですか?」 「ちょっと、な」 風邪でしょうかね。別に寒気とかはまったくしない。そんな受け答えをしている間 も、頭痛は襲ってくる。くそ、本当にいらいらする。 「永遠亭にでも行って、薬もらってくっかなぁ」 そこまでひどいものでもないにしろ、やはりこの痛みと早いところグッバイしたい のである。好き好んで頭痛を楽しむ奴は、きっと阿呆だ。 「バ○ァリンぐらい幻想入りしてないのかね」 「バ○ァリン?」 ちょこんと首をかしげる美鈴。 「頭痛薬。錠剤なんだけど、結構効くんだよ」 俺は、と続ける。薬なんてもんは、効くと思えば一瞬で効くもんだ。俺なんか、頭 痛とかの時にバ○ァリンを飲むと、十分ぐらいしたらすぐに落ち着く。根が単純だか らかもしれないが、認めるとなんか負けな気がする。 「あれの半分は、優しさで出来てるらしいからな」 言うまでもなく、もう半分は薬物である。というか、全部薬物だろという突っ込み をしたのは俺だけじゃないはず。 「優しさ、ですか」 「美鈴の優しさで俺の頭痛を治してくれ」 なーんて…… 「いいですよ」 え、マジっすか? 突っ込まれると思っていた俺は予想外の返答に目を丸くする。 そんな俺に美鈴は近づいてきて、ゆっくりと抱きしめてきた。 しかも場所は廊下。流石にこんなところを見られると、すんごい恥ずかしいんだけ ど……離れる気にはまったくならない。 (……暖かいな) 美鈴の体温が伝わり、凄く穏やかな気持ちになる。背中に回された手が、ぎゅっと 力を入れてさらに俺を拘束する。 美鈴の心臓の鼓動が、とくん、とくんと伝わり落ち着く。 「……どうですか? 頭痛、少しはマシになりました?」 「え……あ、あぁ。うん、その、少しだけ」 良かったと笑う美鈴はいまだ、俺を離さない。恥ずかしくないんだろうか、恋人で もない男に抱きついて。それともあれか、これは期待してもいいんだろうか。 「好きでもない人に、こんな風に抱きつきませんよ」 口に出したのか、それとも表情から察したのか、美鈴が不満そうに言う。 「あー……そ、そうか」 もう頭痛など感じない。それよりも恥ずかしさと嬉しさだけが駆け巡り、美鈴の顔 をまともに見られない。きっと顔が赤くなってる。 「ふふ、○○さん可愛い」 ぎゅっと今度は俺の頭を抱え、自慢の胸に押し付けてくる。苦しい、と思うよりも 先に恥ずかしさが勝る。その後に美鈴が俺の頭を撫でてきた。ゆっくりと、あやすよ うに撫でられて、力が抜けていく。 「……なんか、すごい楽になった」 「えへ、そうですか? じゃあ、今日は一緒に寝ましょうか」 「あぁ……え?」 「○○さんを頭痛から守る為に、今日は私が一緒に寝てあげます。ほら、そのバ○ァ リンの代わりです。私が優しさで癒してあげますよー」 抱きしめから一転して、美鈴は俺を抱き上げる。それもお姫様だっこという、女の 子にとっては夢でも男にとっては羞恥プレイに等しい形で。 「ちょっ!? も、もう頭痛は治ったから大丈夫」 「いえ、ここは大事を取って安静にしないと。私の能力は気を使う程度の能力、一緒 に横になりながら癒しますよっ」 何このやる気。なんとなく鼻息も荒く思えるのは、恐怖心からくる幻だろうか。 「ま、まだ朝だし」 「じゃあ昼寝で」 撃沈。 「仕事っ、仕事!」 「○○さんの方が大事です」 嬉しいけどもっ。 「おぜうに怒られる!」 「○○さんの方がry」 これもだめか。 「メイド長に」 「○○さんry」 これも。 「パッチェ」 「○○ry」 ダメだ、この美鈴聞く耳もたねぇ。今の俺には止める術が……あ。 「い、一緒に寝ると俺が我慢できなくなる!」 ぴたりと美鈴の動きが止まる。よし、流石にこれは返せないな。なんとか体を揺ら して美鈴の腕から脱出をしないと……。 「私は、○○さんなら構いませんよ……?」 顔を赤くしながら呟く美鈴を見たら、そんな気はなくなった。されるがまま、俺は 美鈴に連れて行かれる。 ……まぁ、いいか。美鈴が嬉しそうなのを見ていたら、もうどうでもよくなった。 なるようにしかならない。もしメイド長とかに怒られるなら、俺も一緒だ。 急に頭痛がして、バ○ァリンを飲んでから出てきたネタ。美鈴の優しさはきっと病 気なんかもすぐに治すんだよ! 美鈴の半分は優しさで、もう半分は愛で出来てるに違いない。 お母さん美鈴 その2(新ろだ619) 拾われっこ○○が美鈴の付属品となってから暫く、紅魔館門前は平和そのものだった。まる で○○が平和をもたらしたのだと、門番隊が噂をするくらいに。割と頻繁にあった美鈴への挑 戦者や、レミリアに対して敵意を持った妖怪の襲撃。 そして何より、毎度毎度美鈴を含む門番隊を吹っ飛ばしては紅魔館に侵入、パチュリーの図 書館から書物を掻っ攫っていく憎いあんちくしょうこと黒白魔法使い、霧雨魔理沙の襲撃もな かったのだ。仕事としては暇で仕方ないが、その分美鈴や他の者は○○に構えるという最大の メリットがあったので問題はなかった。 だがしかし、現実は非情である。今日この日、美鈴が○○を拾ってから初の霧雨魔理沙の襲 撃があった。 「イヤッハァァァァァァァァァ!!」 再び図書館からパチュリーの本を盗む――もとい、借りるべく魔理沙はいつものように速度 全開、テンションマックスで紅魔館に向かっていた。彼女の辞書に自重の文字はきっとない。 「げえっ、魔理沙!?」 ○○をあやしていた美鈴が慌てる。ここ暫く平和だったので、完全に油断していた。○○を 抱えたまま魔理沙と戦いなど危険すぎる。自分ではなく、○○が。 既に母親全開の美鈴。 自分の安全<<超えられない壁<<○○の安全 彼女の脳内ではこういう方程式が出来上がっている。しかし、それでも彼女は心の底から門 番であった。逃げなければ、と分かってはいてもそこを離れることは出来ない。 「ま、まずい。だ、誰かー!」 せめて○○だけでも逃がそうと誰かを呼ぶ。その行為は恐らく、無駄だろう。魔理沙の最高 速に対抗できるのは幻想郷でも烏天狗の射命丸文だけ。ここに彼女が来ることなど期待できる はずもない。 「今日も侵入するぜ門番! 先手必勝、マスタァァァァ――」 「ちょ、待って待ってー!?」 本気で焦る。美鈴は大丈夫だとしても、○○が魔理沙のマスタースパークを浴びてしまえば 決して無事ではすまない。最悪、命を落とす危険も……。 それだけは絶対にダメだ、と美鈴は自分の体を盾にして○○を庇う。普段は自分の体を頑丈 にしている気を、全て○○へと注いで。 (○○には、傷一つつけさせない!) 今まさに、魔理沙のマスタースパークが放たれようとしたその時、自分の母親に迫る危機に 気付いたのか○○が大声を上げて泣き出した。 「――スパってうぇぇ!?」 突如聞こえてきた赤ん坊の泣き声に驚いた魔理沙は、最高速の状態から一気に急ブレーキ。 その衝撃で持っていたミニ八卦路を落とし、マスタースパークは放たれずに終わる。無論、そ んな事をした彼女もただではすまず、真っ逆さまになった箒から地面へと投げ出された。 「ぐぇっ……。くぁー、酷い目にあった」 打ち付けた腰を撫でながら、魔理沙は立ち上がる。地面に転がった箒を拾い上げて、美鈴の 下へ。 「おい、門番。いつの間に子供なんて作ったんだ? いくらなんでも早すぎるぜ」 ○○を抱きしめていた美鈴は、危険がなくなったのを知り安堵のため息。未だ泣いている○ ○をあやしながら魔理沙へと向き直る。 「そんなすぐに出来ないわよ。この子は捨て子、それを私が拾ったのよ」 「そうなのか。しかし、危うく巻き込むところだったぜ……なんでお前が抱いてるんだ?」 「私が○○のお母さんだからに決まってるじゃない。ほら、よしよし、もう大丈夫だからね」 ○○をあやす美鈴を魔理沙はじっと見つめていた。泣き止んで笑う○○の姿に、どこか心惹 かれる魔理沙。 「な、なぁ、門番。私にも抱かせてくれないか?」 「え……まぁいいけど。気をつけてよね?」 分かってる、と返し魔理沙はゆっくりと○○を受け取って大事に抱いた。もしかしたら泣か れるかと不安になったが、そんなことはなく○○はきょとんとしたまま自分を抱く魔理沙を見 上げている。 不意に笑って自分の顔へと手を伸ばす○○の姿に、魔理沙はノックアウトされた。 「か、可愛いな」 「そろそろ○○返してー」 「あ、あぁ。悪い」 魔理沙は○○を美鈴へと返し、そのまま美鈴が○○をあやす所をじっと見つめたまま動かな い。美鈴もそれに気付いているが、何を考えているのか分からずそのままにしている。 今日も今日とて、図書館から本を無断拝借しにきたのではないのか、とは思っているのだが 魔理沙に動きはない。 「……えっと、何?」 「別になんでもないぜ?」 「ふぅん」 不気味すぎる。美鈴は何も動きを見せない魔理沙に、不安を隠せない。○○はそんな美鈴の 姿を無邪気に見ているだけ。赤ん坊は気楽でいい。 「美鈴、○○は……あら、魔理沙。来てたの」 ○○の様子を見に来た咲夜が、美鈴と共にいる魔理沙を見つけて目を丸くする。いつもなら 美鈴をぼろぼろにして図書館に直行するというのに。 「よう、今日もお邪魔してるぜ咲夜」 「本当にね。で、今日は図書館にいかないのね? いつもなら風のようにやってきて、風のよ うにパチュリー様から本を盗んで行くのに」 「人聞きが悪いな、あれは"借りてる"だけだって」 「死んだら返す、なんて泥棒と同じじゃない……」 疲れたように突っ込む美鈴。しかし、本当に何故今もこうしてここにいるのか。考えられる 理由としては……やはり、○○の存在。 「ま、まさか黒白……○○を持って行くぜ、なんて言わないわよね」 敵意すら含ませて美鈴はそれを口にする。それと同時に、咲夜の視線も鋭く。そんな成り行 きを見守っている門番隊の妖精達もはらはら。その内心は○○を持って行かれるという恐怖と 自分達に被害がきませんようにという自己中心的なものが半分半分。 妖精だから自己中心的なのは仕方ない。 「流石に人間の子供まで持っていくなんてことはしないって。借りもしないから安心しろ」 憮然とした表情の魔理沙の言葉に美鈴と咲夜も安心した表情。いつもいつも図書館からパチ ュリーの書物を強奪していく彼女にも、常識は残っていたようだ。 「その、だな……持ってきはしないけど、頼みがあるんだが」 「な、何?」 「あうー?」 ○○をかばうように美鈴は尋ねる。そんな美鈴に、○○はよく分かっていないような(いや 実際分かってないだろうが)声を上げる。そんな○○に魔理沙は胸を締め付けられる。 まぁ、○○を見て魔理沙も母性本能に目覚めたということになる。 「た、たまにでいい。私も○○の相手をしてもいいかな、っと」 「……無理矢理うちに侵入しようとしなければいいけど」 「本当だな? 言質は取ったぜ?」 そうなればこちらとしても万々歳だから問題ない。○○は紅魔館に平和をもたらしただけで なく、パチュリーにも平和をもたらしたようだ。まさに天使の子。悪魔の館に天使の子とは矛 盾している。 でも天使だから仕方ない。仕方ないったら仕方ない。 「ぁー」 「ん? どうしたの○○。お腹すいた?」 その場合、きっと泣いている。赤ん坊にとって泣くという行為は、母親とのコミュニケーシ ョンだ。お腹がすいた、おむつがごわごわする、などを知ってもらう為に赤ん坊は泣いて母親 との意思疎通をはかる。 「あぶ」 「あ、こら。髪の毛食べちゃダメ」 ○○が美鈴の髪の毛を口に咥える。なんでも口にいれたがるこの癖は、ちゃんと矯正してお かないとなーと美鈴は考える。 ちなみに、この癖は○○が大きくなってからも残っていたが、美鈴の調教もとい育て方でち ゃんと矯正は出来た。 「今日は帰るぜ。じゃあな、門番、咲夜。○○、また来るからなー」 一撫でして魔理沙は去っていく。 「○○は本当に紅魔館を平和にしてるわねぇ。ふふ、少しつまらないと思うのは今までのこと に慣れてたからかしら」 咲夜も○○を撫で、仕事に戻っていく。 「ぶー」 「あれ、もう眠い? よしよし、じゃあねんねしましょうねー」 紅魔館の平和は、今日も○○によって保たれていた。 ------------------------------------------------------------------ チラシの裏。 美鈴お母さんに育てられたい。しかし、色々とイチャから離れてる気がしなくもない。 でも、美鈴に小さい時から育てられて婿にとかされたい。 何が言いたいかというと、美鈴は可愛いってことで。 よし、とりあえずまた砂糖生産の為にイチャつくことにしよう。 新ろだ708 ◆紅魔館、ゲート前にて◆ 「本日の配置ですが、A班は裏庭を中心にお願いします。 B班は館周辺の補強を。C班は門を中心に散開して警護にあたってください。 無理はしないように、危険を感じたら助けを呼んで下さいね。 では、解散!」 「……いつもいつも精が出ますねぇ。いや、頭が下がります」 「あ、○○さんお早うございます。今日も薬売りですか?」 「そんなところです。ほら、図書館のあの子が、相変わらずみたいで」 「ああ、パチュリー様が。はい、通って頂いて結構ですよ」 「はいはい、失礼しますよー」 ◆紅魔館、図書室横にて◆ 「ということで、減っていた常備薬の補充は完了で」 「はい、いつもどうもです。あ、あとこれ御代です」 「はいどうも。あと、これはあの子に。喉によく効く薬と、のど飴ね」 「あら、ありがとうございます。パチュリー様も喜ばれると思います」 「はは、喜んでもらえたなら重畳。小悪魔ちゃんも、風邪には気をつけてね」 「お気遣いありがとうございます、○○さん」 「あれ、でも風邪引いて貰ったほうが商売的にはありがたいのかな?……うーん」 「あはははは……」 ◆同時刻、ゲート前◆ 「今日も押し通らせて貰うぜー!」 「むっ、今日こそは通しませんよ!」 「借りたい本があるからな、譲らないぜ?」 「こちらも明日の御飯の為、負けてあげられません!」 「いざ」 「尋常に」 「「勝負!」」 ◆十数分後、ゲート前◆ 「それじゃあ失礼しますよー……と。おやまあ」 「……きゅう」 「実に古典的なやられ声で。……無視出来る程の怪我じゃあ無さそうですね」 「――」 「意識の無い女性の身体に触るのは抵抗がありますが……この際仕方ありません。目を瞑りましょう。 さて、消毒薬はどの袋にいれてありましたか――」 ◆さらに十数分後◆ 「……う……ん」 「おや、お目覚めですか」 「あ、れ……○○さん?――!」 「どうか動かないで下さいませ。湿布がズレ落ちてしまいます」 「えっ、えええっ!?」 「帰り際にこっぴどくやられた貴女様を見かけたので、処置を行っただけです。 膝枕は……他に枕になりそうな薬袋がありませんでしたので。 お嫌なら退きますが如何いたしましょう?」 「そ……それじゃあ、このまま、で」 「はい♪」 ◆さらに数分後◆ 「あの、○○さん」 「はい、何でございましょう」 「その、疲れませんか?」 「この姿勢が、という事ならばご心配なく」 「あう……はい、わかりました」 「それに、可愛らしい貴女の一面が見れましたので。役得感をかみ締めております」 「可愛っ――!?」 「ああ、だから動かないでくださいと」 「▲○◆※~!(だっ、抱き締められっ)」 「ああもう…………ふぅ、少しは落ち着きましたか?」 「――――」 「あれ、美鈴さん?美鈴さーん?」 美鈴と旅行(新ろだ734) 「――行きましょう!」 「嫌や」 そう言って○○さんは私に背を向けて再び横になった。 「なんでですかー。行きましょうよ外界旅行」 寝ている○○さんにのしかかるようにして第二回外界旅行の案内の用紙を見せる。お嬢様も自分の 恋人と出かけるし、咲夜さんも同じく。紅魔館の人達全員がこの外界旅行に行くのだ。私も負けてら れないとこうして○○さんを誘いに来たって言うのに。 むぅ。 「面倒くさい。この前の糖度異変の時は家に引きこもってて事なきを得たんやから、今回も俺はゆっ くりするねん」 「一緒に異変に巻き込まれてくれても良かったのに」 「冗談はよしこさん、砂糖生産工場になる気はさらさらないわ。聞いたとこによると、外でもいちゃ いちゃしてる奴が多かったって聞いたし、出んで正解やね」 むー。皆が幸せそうな中、私だけ○○さんとあんまりいちゃつけなかったから寂しかったのに。ち ょっとむっと来たので○○さんにさらに体重をかけてのしかかる。 「重い」 「ひどいっ!?」 「女があんまりそんな風に圧し掛かるもんやない。……恥ずかしいやろが」 小さくぼそっと呟いてるけど、ちゃーんと私には聞こえてるんですから。○○さんってばほんと可 愛いんだからー。きっとにやにやしてる私の顔を見て、○○さんが苦虫を噛み潰したような表情に。 「何笑ってるねん」 「いえ、○○さん可愛いなーって」 「またそれか。男が可愛い言われても嬉しないねん」 拗ねちゃった。っと、いちゃいちゃするのは大好きだけど今日の目的は○○さんと一緒に外界旅行 へ行くことだった。ちゃんと説得しないと。 「ねぇ行きましょうよぉ」 「嫌や。さっきも言ったやん、面倒くさいって」 「そこをなんとかー。咲夜さんもお嬢様達も行っちゃうんで、私一人なんですよ。○○さんと一緒に 遊びたいんですよー」 一人だけ紅魔館に留守番は嫌だし。○○さんと一緒に外の世界で遊んだり、いちゃいちゃしたり、 いちゃいちゃしたり、いちゃいちゃしたりしたいんですと告白する。 「おま、そこまで俺に羞恥プレイさせたいんか!?」 「前も言ったじゃないですか。そのうちそれが快感に」 「なってたまるかぁぁぁ!」 暴れる○○さんを押さえ込み、抵抗できないように両手を掴む。男の人でも、私は妖怪で力にはか なり自信がある。なんとか振りほどこうと抵抗する○○さんだけど、そう簡単にははずせませんよー。 「……ダメ、ですか?」 「む……ぅ」 ○○さんの目をじっと見つめる。これで拒否されたら、私は泣くかもしれない。○○さんと一緒に 外界旅行して、一緒に楽しみたい。 普段は紅魔館の門番があって、○○さんとはあまり会えないし……。この機会に出来ることは全部 やりたい。 「……わぁった、わかりました! 付き合うたらええんやろ!」 「やった、だから○○さん大好きです!」 「だぁっ、抱きつくなぁ!」 嬉しさのあまりそのまま○○さんに抱きつく。といっても、押さえつけてた腕を離してそのままく っついただけ。真っ赤になってもがく○○さんのほっぺに何度もちゅうする。 そのうちに諦めたようにぐったりとなった○○さんを、もう一度抱きしめて頬と頬をくっつける。 「……どなしてん、美鈴」 「いえ、嬉しくて。やっぱり○○さん、優しいから好きです」 「そうかい。物好きやな」 そういう○○さんだけど、赤くなった顔を私から背けて言っても格好つかないと思うな。ふふ、や っぱり○○さん可愛い。 「じゃあ、準備しないといけませんねっ」 「はいはい。あんまり旅行とかせーへんから、ようわからんわ」 「手伝いますから大丈夫ですよ」 「頼むで? 出不精やからほんまに苦手やねん」 ○○さんには私がついてないとダメですねー。でも、個人的には嬉しいかな。さて、用意を手伝わ ないと。ふふふ、行き先も決めてあるから楽しみ。 きっと○○さんも、この外界旅行を機にいんどあ派からあうとどあ派になってくれると思う。よー し、頑張るぞー。 「……なんや、急に嫌な予感が」 --------チラシの裏----------- 相変わらず美鈴が可愛すぎて生きるのが辛い。 ゆかりん、俺を幻想郷へ連れて行ってくれ……。 もしくは、美鈴の義理の息子にして育てられたいとです。 外界旅行を書くのは初めてだけど、頑張って終わらせたい。 あぁ、美鈴に癒されたい。 --------チラシの裏ここまで----------- 美鈴と旅行2(新ろだ757) 「…………一つ、聞いてもええか?」 美鈴に外界旅行に誘われたのはまだええ。面倒くさいんは本音やけど、コイツと一緒にいるのは…… 吝かやないし。まぁ、仕方なく付き合ってるだけや。 そこ、誰や今ツンデレかとか思うた奴。正直に出てきたらスペカ一枚で勘弁したる。使えへんけど。 「はい、なんですか?」 俺の横でいつもの中華服に身を包み、にこやかに微笑む阿呆一人。背中にはやけにでかいリュックサ ック。旅行用とかではなく、主に登山とかで見かけるような奴。何かがおかしいな、この時点で。 「ここは……どこや?」 そして俺も美鈴に仕立てられて、何やら物々しい装備や。こっちの荷物にはサバイバルナイフに組み 立て式テント(香霖堂に売ってたのを買うた)、何日か分の食料などなど。服装も動きやすく、かつ丈 夫そうなものを着とる。 そして、今俺らがいる場所が一番の問題や。 「どこって……無人島ですよ?」 「なんでやねんっ!?」 外界旅行っちゅーからにはもっとこう、東京とか、俺の故郷の大阪とか、蟹食べに北海道とかあるや ろうに! それが、なんで、無人島に、来とんねん! 大事なことなので分割して心の中で言いました! 「いやぁ、○○さんってあまり外に出ないじゃないですか、お仕事の時以外」 「そうやね。面倒くさいからね」 買い物の時とか、美鈴と……デートする時以外は基本家で寝とる。外に出るのが億劫やし、仕事の疲 れを癒す意味でも変に体力消耗させたないしね。近所付き合いはええ方やと思うから安心や。 「ですから、無人島でサバイバルでもしようかと」 「ちょい待ってくれ。一体どんな風な思考で俺がインドア派やから、無人島でサバイバルっちゅー結論 に飛んだんや?」 お兄さんにはまったくもって理解できへんよ? この子、本当に阿呆とちゃうんか。なんで俺、この 子と付き合うてるん? 「だって、あうとどあになるにはサバイバルをした方が手っ取り早くて」 「飛躍しすぎや!?」 ほんまに阿呆の子かコイツは。ええい、なんでこないなとこでサバイバルせなあかんねん。幻想郷で もある意味サバイバルやっちゅうのに。たまーに出会うてしまうるみゃっことの生存競争がいい例やわ。 一応、念の為に食料とか身につけていくからそれで事なきを得るけども。怖いもんは怖い。 「まぁ、スキマ妖怪も帰っちゃいましたし諦めて私とサバイバルしましょう」 「くそぅ……いらん時にはいるくせに、こう必要な時にどうしておらんねんあの妖怪。後で穴の中に思 いつく限りの悪口を言ったる」 美鈴に引っ張られながら、哀れにもサバイバル突入を果たす俺。いや、でもほんまにこんなんやった ことないから何をすりゃいいのかすらわからんよ。一般的な都会人にサバイバル知識を求める方が間違 っとるんや。 そないなことせんでも、働いとりゃ飯は食えるし。幻想郷でもそれは同じや。自給自足とかそういう 感じにはなるけど。ん、そう考えるとあれもサバイバルか……? 「大丈夫です。○○さんは私が守りますから」 「なら最初っからこないなとこ連れてこんといてくれ。行くなら普通、もうちょい都会とか俺の故郷と か選ぶやろ」 それが何故、無人島でレッツサバイバルタイム。俺がインドア派なのは元々やねんから、そこは許容 してほしいで。元々アクティブな人間でもないんやさかい。 俺を引っ張っていた美鈴が突然立ち止まる。なんや? 「その、笑いません?」 「内容によるな。俺の判断基準は結構厳しめやで?」 「そこは笑わないって約束してほしかったです……まぁ、いいですけど。それで、なんで私が外の世界 に来たのにこんな無人島を選んだのか、ですよね」 サバイバル訓練させて俺をインドア派からアウトドア派にジョブチェンジさせる為やろ。 いや、それはそうなんですが。 「本当は、○○さんの故郷に行ったり、ご両親に挨拶して○○さんを婿にください、とか言ったりした かったんですけど」 それは普通、男の俺の役目やないんかね。いや、でも後半は聞き捨てならん。そんなことうちの親に 言われたりしたら恥ずかしくて悶える。故郷に行かんで良かったと神さんに感謝や。祈る神さんは守矢 さんとこの二人と、厄神さん。 まぁ、あの人(神さんやけど)らも今頃外の世界でヒャッハーしとるやろうな。あ、いや、神無月や から出雲辺りに出張中かね? 幻想郷の神さんも呼ばれるんやろうか。 「もし、○○さんが自分の故郷に来て、幻想郷に帰るのをやめたりしたらって思ったら……そんな事を 考えてしまって。ほ、ほら、やっぱり慣れ親しんだところって離れにくいじゃないですか?」 ……ほんまに、阿呆やわ。ため息をついて、美鈴に掴まれとった襟を開放してもらう。寂しそうにあ、 とか呟くんやない。どこにも逃げへんわ。 「おい阿呆」 「阿呆阿呆言わないで下さいよぅ」 「阿呆やから阿呆やねん。よー聞いとけよ阿呆、一回しか言わんから」 あー、なんで俺がこんな恥ずいこと言わなあかんねん……俺のキャラやないっちゅーのに。つか、俺 今回だけで何回阿呆言うたんやろうか。 「俺が故郷に残る? そんなら、もっと早い段階にお山の上の賽銭巫女んとこへ行って帰してもらっと るわ。こっちにゃ親も友人もゲームにパソコンもある。そんだけの誘惑があんのに、なんで俺が幻想郷 なんつーとこに残ってると思うてんねん」 ええいくそ、やっぱ言わなあかんか。顔赤くなってへんやろな。 「おっ……お、お前がおるからやろうがそうやなかったらあんな辺鄙な場所に残るかい」 「…………」 「おい、聞いとんの――――か!?」 突然押し倒される。下が砂とかばっかやったからあまり痛くなかったのが幸いや、とかそんな事を思 ってる場合やない。いきなり何すんねんコイツ。 「嬉しいです……○○さん、あんまり私のことを好きだって言ってくれないから不安で」 「どこまで阿呆やねん。す、好きでもない奴とずっと一緒におられるかい」 「だから嬉しいんですっ。んーっ、でも赤くなりながら言ってくれる○○さんすごい可愛い!」 「うが、だー! は、離せええ! なんやものすごい恥ずかしくなってきたー!」 だから言いたくなかったんや。なんやねんこの羞恥プレイは。俺を押し倒したまま美鈴は犬かなんか のようにじゃれついてくる。あかん、この展開はあかん。 ちょ、誰か紅魔館の良心たるぱっちぇさん呼んでくれー! 「……うー」 「何うなっとる」 「我慢できなくなってきました」 「盛っとんのか!?」 やっぱこの展開か! ちょ、待て、確かに今ここには俺とお前しかおらんけど、流石にこんな解放的 な場所でとか俺は嫌、っと服脱がそうとすんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 「○○さん、大好きです!」 「わかったから手を離せぇ!」 ~チラシの裏~ 何も外界旅行に行けば都会とか帰郷しに行くわけじゃないんだぜ! 美鈴はこれぐらいが可愛いと思うんだ。もう可愛すぎて生きるのがry 続き? あると思うの? 多分、あるんじゃないかな? ~チラシの裏~
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/380.html
紅 美鈴(ほん めいりん) +1 美鈴11スレ目 16 1スレ目 39 1スレ目 43 1スレ目 51 1スレ目 279-280 1スレ目 465(本文は別のスレ) 2スレ目 121 2スレ目 346 2スレ目 366 3スレ目 121 3スレ目 281 3スレ目 799 3スレ目 802 3スレ目 959 4スレ目 307 4スレ目 452 4スレ目 674 4スレ目 718 4スレ目 734 5スレ目 9 +2 美鈴25スレ目 13,74,75,76 6スレ目 258 6スレ目 295 6スレ目 342 6スレ目 402 7スレ目 75(6スレ目 402続き) 6スレ目 657-661 7スレ目 217-218 7スレ目 293 7スレ目 303 7スレ目 674 +3 美鈴38スレ目 547うpろだ253 8スレ目 563 うpろだ258(8スレ目 547に捧ぐ) うpろだ257 うpろだ299 うpろだ376 10スレ目 331 7スレ目881 7スレ目999 8スレ目 399 8スレ目 446 8スレ目 494 8スレ目 496 8スレ目 537 8スレ目 543 8スレ目 932 9スレ目 124 9スレ目 270 9スレ目 362 9スレ目 555 +4 美鈴49スレ目 635 9スレ目 847 10スレ目 52 うpろだ635 11スレ目 535 11スレ目 125 12スレ目 287 うpろだ805 11スレ目 983 12スレ目 89 12スレ目 508 12スレ目 948 うpろだ911 12スレ目 911 +5 美鈴513スレ目 102 13スレ目 501 14スレ目 31 うpろだ1017 +6 美鈴6うpろだ1187 +7 美鈴7うpろだ1188 新ろだ283 めーりんとの話その2(うpろだ1498、その1は新ろだ283) めーりんとの話その3(うpろだ1500) +8 美鈴8めーりんとの話その4(うpろだ1501) うpろだ1504 めーりんとの話その5(うpろだ1506) +9 美鈴9新ろだ70 新ろだ75 新ろだ268 +10 美鈴10新ろだ274 新ろだ287 お母さん美鈴 その1(新ろだ297) 新ろだ306 新ろだ371 +11 美鈴11新ろだ390 新ろだ459 お母さん美鈴 その2(新ろだ619) 新ろだ708 美鈴と旅行(新ろだ734) 美鈴と旅行2(新ろだ757) +12 美鈴12美鈴と旅行3(新ろだ781) 新ろだ818(U-1表現注意???) 新ろだ883 新ろだ935 現世から別れて幻想郷へ(新ろだ2-086) +13 美鈴13お母さん美鈴 3(新ろだ2-231) 現世から別れて幻想郷へ 2(新ろだ2-242) Megalith 2011/08/12 彩華 その一華(Megalith 2015/05/26) 彩華 その二華(Megalith 2015/05/28) 彩華 その三華(Megalith 2015/05/29) 彩華 その四華(Megalith 2015/05/30) 彩華 その五華(Megalith 2015/06/03) 彩華 その六華(Megalith 2015/06/05) 彩華 その七華(Megalith 2015/06/13) +14 美鈴14 +15 美鈴15 +16 美鈴16 +17 美鈴17 +18 美鈴18 +19 美鈴19 +20 美鈴20 レス 1 34スレ目 930より後のレスは美鈴13にまとめ
https://w.atwiki.jp/lwetoho/pages/306.html
東方萃夢想 東方projectシリーズ外伝 第7.5作。 2004年初出、正式リリース オススメ資料庫へ戻る 黄昏フロンティア製作の東方外伝シリーズ。 本家東方Projectの神主ZUN氏が関与している(ストーリーのシナリオおよび萃香のテーマ曲を提供)準公式シリーズとなる。 東方Projectでは初の「対戦弾幕格闘ゲーム」 登場メンバー 博麗霊夢 霧雨魔理沙 十六夜咲夜 アリス・マーガトロイド パチュリー・ノーレッジ 魂魄妖夢 レミリア・スカーレット 西行寺幽々子 八雲紫 伊吹萃香 紅美鈴(追加パッチメンバー) 以上11名。 なお、萃香は本作が初登場。 リリース時期は東方永夜抄よりも後になるが(永夜抄がC66で萃夢想がC67)、 本編内の時間軸では永夜抄よりも前になる(そのため作品ナンバーも7.5で永夜抄よりも前)。 このため、登場メンバーは東方紅魔郷、東方妖々夢からの起用となっている。 このページを編集
https://w.atwiki.jp/chaos-touhou/pages/146.html
紅魔館の門番「紅 美鈴」 読み:こうまかんのもんばん「ほん めいりん」 カテゴリー:Chara/女性 作品:紅魔編 属性:無 ATK:2(+1) DEF:7(+2) 【登場】〔自分のキャラ1体を【表】から【裏】にする〕 [自動][パートナー]自分のメインフェイズ開始時、カード1枚を引く。この能力は【裏】でも発動する。 [永続]自分の「十六夜 咲夜」が登場している場合、自分のフレンドすべては攻撃力が2上昇する。 番人してるだけの普通の人よ illust:犬 紅魔-T05 T SP 収録:トライアルデッキ「OS:東方混沌符 -紅魔編-」 ネームが「紅 美鈴」であるキャラ・エクストラ一覧 華人小娘「紅 美鈴」 芳華絢爛「紅 美鈴」 紅魔館の陰と陽「パチュリー・ノーレッジ」 「紅 美鈴」 紅魔館の門番「紅 美鈴」 紅魔館の番人「紅 美鈴」 「十六夜 咲夜」 紅魔館の使用人「紅 美鈴」 「十六夜 咲夜」 気を扱う程度の能力「紅 美鈴」 気を扱う妖怪「紅 美鈴」 明治十七年の上海アリス「紅 美鈴」 上海紅茶館「紅 美鈴」 Stage3 紅色の境「霧雨 魔理沙」 「紅 美鈴」 東方紅魔郷 「紅 美鈴」
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1345.html
美鈴12 美鈴と旅行3(新ろだ781) 「○○さーん、火つきましたー?」 「待て、もう少し……おし、ついた。魚こっちにくれ」 あの後、俺の持てる能力全部使って美鈴と交渉し屋外は嫌、ということをなんとか知らせた。 問題はそこやないんやけど……あの時は貞操を守ることしか頭になかったからしゃあない。改め て思うが、ほんまにコイツ変な性癖もっとらんやろな? 「なんですか?」 「なんもあらへん。魚だけじゃなんか寂しいな……もうちょいなんかないんか?」 「うーん、じゃあご飯も一緒に作りましょう。残り少ないんで節約したかったんですが」 白米と焼き魚か。ええ組み合わせや、想像するだけでお腹鳴るわ。やっぱり日本人なら米と魚 で飯食うんが一番やね。飯盒でご飯を炊く準備をする美鈴を見ながら、ふと昔にやった林間学校 での食事風景を思い出した。 そういや、あん時食ったんはカレーやったけど美味かったなぁ。自然の中で食べる飯があれほ どとは思わんかった。それを考えると、今の無人島生活でのサバイバルもあれの延長線上みたい に思えてくる。 ……実際にはあれとは比べもんにならんほどしんどいけど。やっぱりサバイバル嫌や。 「明日はどうしましょう。山の中でキノコとかとってきましょうか」 「知識ないから毒があるのとないのとの区別つかへんで?」 「そんな事もあろうかと、魔理沙からキノコ図鑑をもらってきました」 「なんという用意周到さ。でも、あの黒いのは信用ならんのやけど」 何せ盗人や。うそつきは泥棒の始まりと言うからね、まともなキノコ図鑑と称してその実、コ レクター図鑑とか渡しそう。まぁ、冗談やけど。 キノコに関してはプロだ、とかなんとか。魔法の森なんつー危険地域に好んで住んでるし、魔 法の実験でよくキノコ使うらしいし。その魔法使い様が使ってたキノコ図鑑や、大丈夫やろ。 「大丈夫ですよ。私もそこそこ知識はありますし、安心してください」 「寧ろなかった状態で俺をサバイバルに誘ったとしたんなら、お仕置きしとったわ」 「お、お仕置き……いえ、それは私にとってはご褒美かもしれませんっ」 「どこまで幅広い性癖もっとんのや!?」 美鈴の実力が未知数すぎるわ。一体どこまで隠しとるんや、コイツ。もしやどこぞの帝王みた いに"私はまだ三段階の変身を残しています"とか言わへんやろうな……。これ以上パワーアップ されたら本気で対処できん。 「まぁ、飯が炊けるまで時間かかるやろうしまったりしとこか」 「そうですね」 「って、何で横に来て引っ付く。体重かけんな、重い」 下手に引っ付いてるとまた発情しよるからな、油断できん。外で襲われるとか勘弁やから気を つけへんと。 ……まぁ、決して嫌や言うわけやないけど。それでも、羞恥心とか常識というものをもって行 動して欲しいのが本音なんよ。俺が疲れる。 「あはは、やだなぁ。幻想郷での常識は外での非常識ですよ?」 「確信犯かい! そしてにこやかに言うな!」 不安が増大しすぎて破裂しそうやわ。これは美鈴の性癖を本気で疑わんといかんなってきた。 毎度毎度、見られるのが快感になるからといい続けていたからもしやとは思っとったが……今 度から警戒レベルを引き上げな。 「二人っきりなんですから、これぐらいいいじゃないですか」 「発情期の犬に好んで近づく阿呆はおらん」 「そんなこと言ってー。本当は○○さんも」 「そこまでや!」 ぱっちぇさんがおらんから、俺が頑張らないとあかん。それに、この時期のあの人もそこまで よとは言えんやろうし。自分の恋人相手にゃーそりゃ言えん。 「飯時ぐらい静かにしてくれ。ゆっくり食事もできんのか」 「はいはいはいっ、私○○さんにあーんとかやりたいです!」 「やらんでええ、そして話を聞け。俺の唯一の安息の時間まで奪わんといてくれ」 メシ食うとる時が一番安心ってどうやねん。寝てる時はいつ、この阿呆が夜這いにくるか不安 でオチオチ寝てられん。まぁ、こっち来てそれなりに日にちは経ってる間、それが一度もなかっ たことに、驚けばいいのか安心すればいいのか……。 警戒は解いてもいいかもしれんけど、でもやっぱり不安はあるのでまた今日も浅い眠りや。く そう、帰ったら二日ぐらい寝たる。 「魚そろそろ焼けそうですね」 「やな……あっつ。あぶな、危うく手突っ込むところやったわ」 「やだ○○さん、変なこと言わないでくださいよぅ」 「うん、別に誰も変なこと言うてないよな? 俺はただ、火の中に手をいれそうになった言うた だけやし。突っ込み拒否」 脳内ピンク色かほんま。会った当時はこんなんやなかったんやけど……こう、真面目というか 常識的というか、もっと清楚な感じがしたはず。変わりすぎやないか? 俺のピュアな恋を返してくれと言いたい。 「ご飯もできたしさっさと、いや、冷めん程度にかつゆったりと食うぞ」 「その後はお楽しみタイムですね!」 「そんな予定はない」 俺にとってのお楽しみは熟睡できることなんやけど、暫くは無理そうで凹む。まぁ、あと少し 辛抱すれば念願の帰還。そこまで俺は頑張るんや。 正直、時計も何もないから日にちと時間の感覚が非常に曖昧やが。これでまだあと一週間ぐら いあるとか言われたら発狂する。 「口移ししましょう!」 「静かに食え、いや、食べてくださいお願いします」 プライドなんぞいらん、平穏を俺にくれ。楽しいのかしんどいのか泣きたいのかもうわけがわ からんくなってきた。 とりあえず、頼むから美鈴自重してくれ。 ~キング・クリムゾン~ 「……大丈夫?」 憔悴しきっとる俺に、紫さんが声をかけてくるけど、正直返事をする気力もないわ。めっちゃ 疲れたし……はよ帰って寝たいわ。 「もう終わりかぁ。もうちょっと二人きりでいたかったのに」 「ふふ、その様子だと楽しんでたみたいね。それにしても、本当にこんなとこで良かったのかし ら? 何もないところだけど」 「○○さんと一緒ならどこでも楽しいから」 「あらあら、ご馳走様。おあつい二人の熱気にあてられちゃったわね」 紫さん、その顔やめれ。 「それじゃ、幻想郷に戻すけど……○○?」 「な、なんや? はよ戻って寝たいんやけど」 「ご家族に挨拶とか、しなくてもいいの?」 心配そうに言うのでもなく、紫さんは感じた疑問を口に出しただけみたいな顔。確かに、戻る ことないと思うてたこっちに戻ってきたんやから、挨拶の一つや二つやっといたほうがいいんや ろうけど……。 「別にええわ。どうせ来年もまたやるんやろ?」 「の、つもりではいるけどね」 「そんときにでも行きゃいい」 親らには悪いけど、今回は見送りや。心配しとるかもしれんけど……横におる奴が不安そうに しとるし。コイツの決心がついたら、本当に結婚の挨拶でもしにいってもいいと思う。 次の機会がなかったら、その時は紫さんにでも頼んで手紙でも書いて届けてもらうか。それぐ らいなら、頼んでも問題ないやろ。 「そう、貴方がいいなら問題ないわね」 こっちを微笑ましそうに見とる紫さんは、多分気付いとるんやろな。ええい、地霊殿におる古 明地さんとこのさとりさんやあるまいし。こっ恥ずかしくなるからこっちみんな。 「?」 コイツが気付いてないのが、幸いか。 「じゃあ、戻りましょうか。○○もそろそろ限界みたいだし」 「はよ頼むわ。このサバイバルは早いところ良い思い出にしたい」 記憶の奥底に封じ込めて、何年かあとに思い出話で盛り上がらせる的な意味で。 「お嬢様や咲夜さん達に会うのも久しぶりな気がするなぁ」 「あの人らも楽しんでたやろな。レミリアとかフランあたりがはっちゃけてそうやわ」 俺らも負けてへんけど。いや、俺らというか美鈴が。それでも愛想つかさんのは、やっぱ惚れ た弱みっちゅーやつかねぇ。 「とりあえず帰ったら○○さんの家でしっぽりと熱い夜を過ごすんですね!」 「最後の最後でそれか!? もう少しキレイに終わらせようとする気はないんか!?」 ~チラシの裏~ 外界旅行編、終了。 美鈴は最後まで阿呆の子。流石俺の嫁、そこが可愛い。 次回の外界旅行があるか知らないけど、あったらまた書くよ! 多分。 その前にクリスマスと新年があるけどね。 ~チラシの裏~ 新ろだ818(U-1表現注意???) 「ふははは…… その程度か紅美鈴よ?」 「……くっ」 繰り出された強烈な一撃のダメージは相当なものだった。 身体がいうことをきかない。 崩れそうになる足腰を必死に留めるが、それ以上のことは出来そうにない。 しかし、私は負けるわけにはいかない。 ここで敗れたら、幻想郷の危機を誰が救うというのだ。 「……ふん、往生際が悪いぞ。そんな身体で何が出来る?」 勝ち誇ったように巨体を震わす太歳星君。 「まだだ。私とて紅魔の一員。ここで退くわけにはいかぬ!」 「……ほう、その心意気は誉めてやろう」 ギョロリとした眼をこちらに向け、その身を沈める。 「だが…… 心意気だけでワシに勝てると思うな!」 そしてその体躯でよくもという速度で突進してきた。 ふらつく身体に鞭打ち、大地を踏みしめる。 だが身体は動かず、がくりと膝が地についてしまう。 迫る太歳星君。……避けられない、万事休すか。 歯を食い縛りきつく目を閉じる。 しかし、私を吹き飛ばすであろう衝撃はいつまでたってもやって来ることはなかった。 恐る恐る目を開けると見覚えある背中が目に飛び込んでくる。 「ぬうっ!? ……貴様は」 驚きに目を見開く太歳星君。 「……すまない。遅くなった」 ○○さんが太歳星君の突進を受け止めていたのだ。 「○○さん!? どうして!?」 危険がないように、避難したはずなのに…… 「ピンチに駆けつけられなくて、何が相方だ! 加勢するぜ、美鈴!」 「駄目です○○さん! ここは私に任せて、貴方は安全なところに……」 「馬鹿言うな! 今だって危ないところだったじゃないか!」 「だからこそです! 貴方にもしものことがあったら」 「ワシを無視するとは、いい度胸じゃぁ!」 「ぐっ!?」 苛立った声を上げて太歳星君が○○さんを突き上げる。 高々と宙に舞ったその身体を、身を翻した太歳星君の尾ひれが捉えた。 そのまま地面に叩きつけられる○○さん。 もうもうと上がる土煙。 「○○さん!!」 「馬鹿め、ただの人間がワシに逆らうから……なっ!?」 「……まあ、今のは少し効いたな」 土煙が晴れた先にはほとんど無傷の○○さんが立っていた。 「○○さん!」 「ば、馬鹿な、貴様は何者だ!?」 「さっき自分で言っていただろう。『ただの人間』だと」 「ふざけるな! ただの人間がワシの力を……」 「一念岩をも通す。大切なものや人を守るためなら、人はどこまでも強くなれるのさ」 「知った風な口を……」 怒り狂う太歳星君に呼応するように大地が震える。 「聞くなあああああ!!!!」 怒号とともに地盤が崩れ、岩石となって降り注ぐ。 しかし、○○さんはそのことごとくを避け、未だにへたりこんだままの私を抱えあげる。 「……よく頑張ったな、美鈴」 そのまま頭を抱え込むように抱き締められた。 じんわりと暖かな気が流れ込んできた。 満身創痍だった身体に活力が蘇ってくる。 「……これは」 「想いの力は気の力。俺は美鈴を護りたい。そして、その美鈴の愛する幻想郷を護りたい」 ゆっくりと私を下ろす○○さん。 さっきまでの状態が嘘のように、足はしっかりと地面を掴んでいる。 組むように握られた手から伝わる力。 「想いは伝わり、交われば大きくなる。純粋な想いを皆が抱けば、それが真実となる」 繋がった手に集まる力の源を理解した。 「……気の、力」 優しく強い心を持つものが生み出す勇気。 ○○さんがその「気」を送り込んでいるのだ。 「さあ、奴を倒して宴会といこうぜ」 「はい!」 全身に満ち満ちる力強い気、それを練り上げて繋がれた手に集める。 二人分の勇気の力は大きく、輝きを増していく。 「ふざけるな!!! そんなものでやられるワシではない!!! まとめて地の果てまでまで吹き飛ばしてくれるわ!!!!」 地中に潜り身を隠す太歳星君。 深く地に潜り、得た推進力で私たちを吹き飛ばす魂胆だろう。 ……だが 「美鈴!」 「○○さん!」 背後からの気配に反応し、同じタイミングで跳ぶ。 同時に足下から勢いよく飛び出した太歳星君。 弧を描いて落下すると再び地中に消えた。空中で無防備な私たちを狙うつもりだ。 しかし、それこそが私たちの狙い。 繋いだままの手を飛びかかってくるであろう場所に向ける。 「……我ら幻想郷を守りし一対の門」 「この地の安住を守る最初にして最後の砦」 「災いをもたらす者通ること能わず」 「「我らが想いにより、闇へと帰れ!」」 繋がれた手から流れるまばゆい光が太歳星君を飲み込む。 「ば、馬鹿な、このワシが…… ぐあああああああああああ!!!!!」 光が晴れた後には、みじめなまでに縮んだ太歳星君の姿があった。 「……今回はワシの負けだ。だが忘れるな、我が野望を諦めたわけではない! いずれ必ず幻想郷に厄災をもたらしてくれる!それまで束の間の勝利に酔うがいい!」 捨て台詞を残し空の彼方へと消えていく太歳星君。 「やりました! ○○さんのおかげです!!」 「いや、美鈴が挫けることなく戦った結果だよ」 「……でも、嬉しかったんです。○○さんに守ってもらえて」 「……まだ終わったわけじゃない。奴はきっと戻ってくる。 幻想郷の平和のために、一緒に戦おう」 「○○さん……スピー」 「美鈴……ムニャ」 「……ご覧のありさまよ」 「……これはひどい」 紅魔館の地下にある図書室。 昼なお薄暗いそこで、○○と美鈴は眠っていた。 彼らの周りには読み散らかされた漫画が転がっている。 「永遠亭から面白そうな薬を貰ったから試しに飲ませてみたけど、人選に失敗したわ」 「……どんな薬ですか?」 「なんでも、他人と夢を共有出来るらしいの」 「手まで繋いでまあ。……どんな夢を見ているのかしら?」 「だいたい想像はつくけどね」 自身の書斎を散らかされて不機嫌にパチュリーは言う。 「起こさないのですか」 「今起こしたら不満たらたらでしょう。そっちの方が面倒くさいわ。 起きたら今度は現実と戦ってもらうことにする」 机に高く積み上げられた本に目をやるパチュリー。 理不尽な命令を聞くはめになるだろう二人に、心のなかで合掌しながら咲夜は書斎をあとにした。 こうして幻想郷の平和は保たれた。 しかしこれは始まりに過ぎない。 何故なら二人はそろそろ目を覚ますのだから。 「……わたしたちの戦いは」 「……これからだ」 行け行け美鈴! 負けるな○○! 紅魔館の図書館を片付けられるのは、君たちしかいない! 新ろだ883 やぁ、みなのしゅう。今日は家で寝よう。そう決めてたんやけど、突如やってきた美鈴に拉致られ て今は紅魔館の住人となった外の人間、○○や。 つっても、本当に住人になったわけやないで? 俺の家は人里の離れたとこにあるマイホームだけ や。紅魔館も決して悪いとこやない(幻想郷縁起じゃ近づくと危険と書いとるけどな)が、あそこが やっぱ落ち着くねんな。 「んで、なんやねん急に人を拉致して」 「悪いわね、○○。どうしても人が足りないから、美鈴に貴方を呼んでもらったのよ」 「そりゃ人は足らんよな。ここには人はさくさんしかおらんし」 他は吸血鬼に妖精に魔法使いに悪魔に妖怪や。人間なんちゅーいきもんは今現在、俺とさくさんし かおらんわ。 「揚げ足取りはいいのよ。○○、貴方のその喋り方……確か、かんさいべん? だったかしら」 「そうやけど。や、まぁ俺みたいな喋り方する奴も少ない思うよ?」 自分で言うのもなんやけど。某ミナミの帝王みたいとは言わんけどな。あそこまでコテコテな関西 弁は、今じゃあんま見かけへんし。生粋の関西弁、っつーのもわからんしなー。 「そうなの? まぁ、いいわ。最近何か面白いことがないか考えてたのよ」 「ふぅん。んで、それと俺の関西弁に何の関係があんねん。あと、美鈴」 「はい?」 「後ろから抱きつくな。寒いから人肌はあったかいけど、胸あたっとんねん。恥ずかしいやろうが」 当ててるんですよ、とこの阿呆やめへん。暖かいのはええねん、でもさっきからさくさんの視線が ごっつ痛い。そらもう、視線で人が殺せるならとありきたりな例えで言うと、俺の命は今で二回ほど 死んどる。 さくさん、怖いからやめて。心臓に悪いです。 「で、思いついたのよ。守矢の巫女に聞いたんだけど、外じゃ漫才っていうの? ああいうのが流行 ってるって言うじゃない」 「あー、まぁ流行ってると言えば流行ってたんかな。俺もよく、テレビで見てたわ」 漫才とか、某新喜劇とか。こっちきてからそういうのとは無縁になったから、すっかり忘れてしも うてたな。懐かしくなってきたわ。 関西人なら、あれを見て育つのは当たり前やし。や、多分。 「あれをやろうって」 「レミリア、正気か?」 「失礼な物言いね、血吸うわよ」 「あかん、そこは血ぃ吸ぅたろかって言うとこやで」 勿論ジェスチャーこみで。それを説明したら吸血されたわ。首筋からやるのはほんまにやめてとあ れだけ……。痛いの嫌やのに。 「い、いきなりはないわ……ちょ、誰か輸血して」 「なら、私が気を送り込んで癒します! 性的な意味で!」 「ありがとう、その言葉で貞操の危機を感じて血液が溢れたわ。もういらん」 油断しとると食われる。結局、外界旅行から帰ってきた後、見事に美味しく頂かれてしもうたから な……あかん、思い出すと震えが。 減った分の血は、さくさんが持ってきてくれたレバーを食べて補給した。できるまで時間かかるか らまた吸われへんよう注意やね。 「紅魔館全員やるのよ。でも、二人一組にすると一人余るのよね」 「……? いや、ちょい待ってや。普通にできるんとちゃうか?」 ぱっちぇさんとこぁやろ、さくさんに美鈴、んでレミリアとフラン。見事に三組で出来とるやん。 人手が足らんとか嘘やん。 「何を言っているのよ。パチュリーと小悪魔、咲夜とフラン。ほら、美鈴だけ余るじゃない?」 「おま、自分は参加せーへんのか!?」 「カリスマある私がそんな事したら、本当にカリスマブレイクするでしょう」 こいつは、何を言っとるんや。カリスマて、元々そんなもんあった気はせーへんのやけど。そんな 事を考えてたらレミリアの視線がめっちゃこわなった。 こっちみんな。 「悪いけど、俺は漫才とかする気せーへんよ。関西人が全部芸人気質や思うたら大間違いや。人に笑 われるなんて、俺には恥ずかしゅうてよう出来へんわ」 そもそも、俺は面倒くさがりやと知っとるやろうに。そういうのは見てるのが楽しいんであって、 やる方はよほど好きでもない限りできん。レミリアも見て楽しもうとしとんのやけど、俺もどちらか というとそっち側。 芸人は芸人ですごい思うけど、俺はごめんやね。 「えー、一緒にやりましょうよ○○さん。絶対楽しいですって」 「いーやーや。そもそも、ネタ考える頭ないわ。ああいうの考えるのん、めっちゃ難しいんやで?」 「大丈夫、二人の愛の力で」 「なるか阿呆」 確かにコイツのことは好きやけど、なんか日を重ねる毎にコイツの俺へのスキンシップが激化して いく気がしてならん。つ、付き合い始めた当初は手を繋ぐと照れてたというに、今や寝てる俺に襲い 掛かってくるアクティブタイプに変化。 一体何があったんやコイツに。進化ってレベルやないで。 「○○、美鈴。夫婦漫才もそこそこにね」 「やだお嬢様、夫婦だなんて!」 「誰がコンビか」 いや、人生のパートナーという意味では間違ってはないかもしれんけど。まだ結婚もしとらんし、 プロポーズもしとらんのに。いつかせにゃならんと考えると、軽く死ねるわ……恥ずかしさで。 「俺は帰って寝る。あと二日はお休みなんや、ゆっくり惰眠を貪って癒されたい」 「相変わらずの自堕落生活ねぇ」 「ほっとけ。って、なんや美鈴この手は」 俺の袖を掴む美鈴ハンド。その力は強く、俺ごときの力では到底引き剥がすことは出来ないハイ パワー。流石妖怪、人間様とは格が違うな。 いや、そこはどうでもいいわ。 「帰しません。○○さんと一緒に夫婦になるんです」 「漫才抜けてる!? まて、レミリアが言ってたのは息が合ったコンビやってことで、別に夫婦っ てわけやない!」 「大丈夫、私と○○さんなら相性ばっちりの夫婦になれます!」 「だから漫才が抜けとるねん!」 気合と根性と貞操を守る意思で美鈴の拘束から抜け出し、全力ダッシュ。部屋を飛び出し、紅魔 館の廊下をひた走る。メイド妖精とかとすれ違い、何しとんやコイツ的な目で見られるが無視。 「なんで逃げるんですかー!」 「漫才すんのはごめんやし、お前の目が怖いからや!」 くそ、相変わらずさくさんの能力で無駄に広い家やな、道がわけわからん。でも、ここで逃げき らなまた食べられる。性的な意味でな! 結局、逃げ切れずに見事に食べられたけどな!(涙) 「ねぇ、咲夜」 「なんでしょう」 「思ったんだけど、あの二人見てる方がよっぽど面白いんじゃない?」 「それには同意しますわ。でも」 「?」 「あまり直視しすぎると、そのうち目から砂糖が出たり食べるものが甘く感じられるかもしれませ んよ?」 「……ほどほどにしておいた方がよさそうね」 --------チラシの裏-------- むしゃくしゃしてやった。反省はしている。 最近寒いので、美鈴とイチャイチャして暖かくなりたかった。 漫才云々は某グランプリから。 相変わらず美鈴が阿呆の子だけど、好きすぎるから問題ない。 美鈴かわいいよ美鈴。性的な意味で食べられたいよ! --------チラシの裏-------- 新ろだ935 幻想郷にも、クリスマスがあったらしい。外の世界から幻想郷へと迷い込み、博麗神社に間借りさ せてもらいおよそ一年。 博麗の入れてくれたお茶を啜りながら、遊びにきた霧雨の三人で話をする。 「恋人とイチャイチャして、クリスマスプレゼントを上げたりもらったりする日だろ?」 「いや、本当は違うんだけど……まぁ、日本人にとってはそんな感じだから間違ってないか」 正しくクリスマスの意味を知っている人間が、果たしていくらいるのか。俺だってちゃんと知って いるわけじゃないし。それに、所謂負け組に属していた俺にとってクリスマスは苦痛でしかない。外 の世界でもバイトばっかで、懐が潤うだけだったし。 周りは彼女持ちとか結構いたので、寂しい日々。空しくなったことは数知れず。だけど、今の俺は 勝ち組と言ってもいいのだが……。 「二人とも、クリスマスは誰かと……って、いたら今一緒にいないか」 「うるさいわね、いい男がいないんだから仕方ないでしょう?」 「右に同じだ。私についてこれる男じゃないとな」 難しい注文を、と口には出さずに心でもらす。博麗の場合、そのお眼鏡に適う男ってのはどんな超 人なのか。 「そっちは門番と過ごすんじゃなかったのか?」 霧雨の言う門番。紅魔館というレミリア・スカーレットが君臨する館の門を守護する妖怪、紅美鈴 と俺が付き合うことになったのは三ヶ月ほど前。告白は情けないことに、美鈴の方から。 「うーん……」 「何よ、煮えきらない反応ね。どうしたのよ」 「いや、二人の話を聞くまでクリスマスがあるとは思ってなかったからさ。それに、もう向こうでパ ーティとかしてるんじゃないか? もしくは、今日も仕事とか」 無理強いはできないし。予めクリスマスがある、っていうのを知っていれば予定とかを聞いて約束 を取り付けたりしたけど……もう当日だ。何もかも遅すぎた。 「おいおい、そこは男なら無理矢理にでも攫ってくるとこじゃないか?」 「阿呆、んなことしたら迷惑だろ」 「たまには強引に攻めるのもいいんじゃない? ほら、女の子って普段は違う態度に惹かれるってい うし」 そうだとしても、時既に時間切れって奴だ。早めに調べておけば良かった、と後悔後に立たずを身 をもって痛感する。あれ、こんな諺だったっけ? ずずっと少し温くなった茶を飲む。 「ん? へへ……おい○○。お待ちかねの恋人の登場だぜ?」 「へ?」 霧雨の言葉に振り向けば、いつものチャイナ服の下にズボンを履きマフラーをつけ、白い息を吐き ながら立つ美鈴。俺と視線が合うと、ほわっとした笑顔を浮かべた。 それに不覚に高鳴る胸。顔が赤くなってないか少し不安になる。靴を履いて美鈴の下まで行く。 「今、大丈夫?」 「あぁ。美鈴、仕事は?」 「今は別の子達に任せてる。あ、お邪魔してるからー」 手を振る美鈴。博麗と霧雨はひらひらと手を振って茶を啜っている。その顔が、どことなくごちそ うさまと言っているように見えるのは気のせいか。 「で、どうした?」 「今、用事とかある?」 「……いや?」 そう言うと美鈴が安堵した表情に。 「あのね、うちでクリスマスパーティをやるんだけど、来ない?」 さっきはああ言ったものの、本当にパーティやるのか。本来なら聖人の誕生日を吸血鬼が祝う、な んてありえないと思う。まぁ、そこんとこはどうでもよくて口実付けで騒ぎたいだけかも。 「いいのか?」 「うん。お嬢様達にも許可は取ってあるから」 「なら、行かせてもらう」 神社に戻って防寒具一式と必要なものを全て持つ。博麗と霧雨に行ってくる、と伝えるとお土産よ ろしくと返された。料理でもタッパにつめて持って帰ればいいんだろうか? 美鈴と一緒に、紅魔館に向かって飛ぶ。といっても、俺は飛べないので美鈴に抱えられる形での移 動だ。 「急にごめんね?」 「いや、いいよ。俺としては、誘ってくれただけでも嬉しいし」 「クリスマスは恋人と過ごす日、でしょ?」 「正確には違うんだけどな……でも、ごめん」 「何?」 「幻想郷にクリスマスがあるとは思わなかったから、プレゼントとか用意してない」 美鈴にあげられるものなんて、俺は何も持ってない。こういう時ぐらい、何か甲斐性を見せてやる べきだと言うのに。情けなくて少し泣きそうになる。 「大丈夫、これからちゃんともらうつもりだから」 「いや、だから渡せるものがないって」 「安心して、物じゃないから。というか、私が一方的にもらうかも」 なんだそれ、と口に出す前に紅魔館へと到着する。屋敷の前には館の住人が全員集合していた。ス カーレット姉妹に十六夜さん、ノーレッジに小悪魔。 「ただ今戻りました」 「お帰り、美鈴。首尾よくいったみたいね」 首尾よく、って十六夜さんはなんのことを言ってるんだろう? 「いえ、まだ言ってないんですよ」 「あら、じゃあこれから? ふふ、いい物が見れそうだわ。ねぇパチェ」 「悪趣味よ、レミィ。でも……少しだけ同感だわ」 少し興奮しているのか、レミリアの羽がばさばさ動いている。フランドールは、にこやかにこっち に手を振ってきている。とりあえず振り返すと嬉しそうに笑った。 「美鈴さん、頑張ってくださいね」 「うん、ありがとう小悪魔」 「なぁ、一体何の話だ?」 仲間はずれにされてる気分なので、少々寂しい。 「○○がくれる予定のクリスマスプレゼントのこと。あ、私があげるのかな?」 「意味がわからないんだけど」 どっちなんだ、美鈴がくれるのか俺があげるのか。 「えと、ね。○○、ずっと博麗神社に住んでるでしょ? こっちに来てから」 「あぁ、博麗には感謝してる。時々賽銭入れたりはしてるけど、基本無駄飯食らいみたいな俺をずっ とおいていてくれるし」 まぁ、それ以上に扱き使われたりしてるんだけど。境内の掃除やら神社の掃除やら倉庫の掃除やら 階段の掃除やら……。 「私はここを守る仕事があるから、そうそう会いに行けないし。○○も仕事があるから会える日がも っと限られるからさ……お嬢様に言ったの」 「……何を?」 「○○をここに住ませてあげてくれませんか、って。何か言われるかなって思ったけど、あっさり許 可が下りて少しだけ拍子抜けしたけど」 そう言って嬉しそうに美鈴が笑う。レミリアへと視線を向けると、明後日の方向を向かれた。どう やら照れているらしい。 「それで……どう、かな?」 「どう、って?」 「紅魔館に住むこと。○○は、嫌だった?」 ……そんなわけない。 「いや、嬉しいよ。ありがとう美鈴、最高のクリスマスプレゼントだ」 「良かったぁ、断られたらどうしようかと。ありがとう○○、私にとっても最高のクリスマスプレゼ ントになった」 あぁ、もう。なんでこいつはこんなに可愛いこと言うんだ。我慢できずに美鈴を抱き寄せ、もう離 すまいと言うほど抱きしめる。寒いこの時期に、美鈴の体は暖かくて。 正直、美鈴以外の面々がいるってことを忘れていた。 「んんっ、イチャイチャするのはいいんだけど少しは私達も気にして欲しいわね」 「咲夜、それは言わぬが花ってやつよ。いいじゃない、見てる分には面白いんだし」 「あ、ご、ごめんなさい! ちょっと○○、恥ずかしいから離してっ」 言われずともすぐに離れる。ニヤニヤとこっちを見る吸血鬼と魔女、そして司書が恨めしい。それ 以上に周りを意識しなかった自分の無防備さが恨めしい。 いや、後悔はしてないけどさ。しかし、これから紅魔館暮らしか……博麗に説明して、これまでの 恩ぐらいは返さないと。 「さ、入りましょう。ずっと外にいたから寒いわ」 「すぐに暖かい紅茶をお出ししますわ、お嬢様」 「○○、いこっ。美鈴もっ」 皆、紅魔館へと戻っていく。ぎゅっと手を握られる感触。横を見れば、美鈴が白い息を吐きながら 微笑んでいる。そんな美鈴の鼻に、白い結晶が咲いた。 「つめたっ」 「雪か」 クリスマスに雪。ホワイトクリスマスとは良く言ったものだが、実際はそんなことになることは滅 多にない。クリスマスに降る雪、というのが幻想的で綺麗な光景。もしかしたら、幻想郷では珍しく ないのかもしれない。 ここは幻想が存在する場所。忘れられた存在やモノが辿り着く最後の楽園。もしかしたら俺も、外 の世界では既に忘れ去られているんだろうか。 「○○、どうしたの?」 「なんでもない。さむっ……早く中に入ろう、風邪ひきそうだ」 だけど、そうだとしても構わない。俺をずっと育ててくれた両親に報告できないのが心残りだが、 俺には大切な人がいる。彼女がここにいる限り、俺の居場所はここにしかない。たくさんの友人達に 大切な恋人。 俺は幸せだと、胸を張って言える。 「美鈴」 「ん?」 「メリークリスマス」 美鈴から返ってきたのは、笑顔とキスだった。 ---------チラシの裏--------- 攻めてない美鈴と受けてない○○のお話。 幻想郷にクリスマスがあるかないか。そんなことはどうでもいいんだぜ。 あると言えばある。ないと言えば教えればいい。 美鈴大好き愛してるLOVE。そして紅魔館メンバー愛してる。 美鈴とホワイトクリスマスで寄り添ってすごしたい。 ---------チラシの裏--------- 現世から別れて幻想郷へ(新ろだ2-086) さて、準備は済んだ。後は、実行に移すだけ。 「……大丈夫なんだろうか」 今から行うことが、ちゃんと成功するのか分からず、やや不安を覚える。が、今更何を不安に思う必要があるというのか。 まだ未練があるのか、と自分を嘲笑う。下らない、本当に下らない。不安に思うのなら、今すぐにやめればいい。 それは出来ない。もう、うんざりだからだ。だから、俺はこの世界と決別する。現世の柵から開放されたいが為に、俺は今 から死ぬ。人間関係、仕事……二つともうまくいかず、幼少から積もってきた疲れが、今の俺を動かしている。これはきっと 逃げなんだろうと思う。別になんて言われようとも構わない、もう疲れた。 「……」 手元にあるのは眠れないと嘘をつき、なんとか手に入れた睡眠薬。飛び降りる勇気も、刃物を使う勇気も俺にはない。だか らこんな姑息な手段を選ぶ。これで死ねるのか分からないが、やるしかないんだ。俺はもう、生きるのが辛い。睡眠薬を手の ひらにぶちまけ、水を口に含む。 間近に迫る死の恐怖に、体が震える。だが、これ以上生きていても辛いだけだ。迷惑をかけるだけだと暗示をし、震えを意 識的に止める。そして、手にした無数の錠剤を口の中に放り込み無理矢理飲み下す。 「っ……」 飲んだ、飲んでしまった。後を考えるのが怖い、すぐに横になる。時間が経てば、眠気が俺を襲ってくるだろう。そのまま 眠ってしまえば終わり。眠るように死ねるはず。 親にも迷惑をかけっ放しだった、せめてもの償いとは言わないが仕事で貯めたお金を残してある。 (やっぱり、怖いな) 意識がやや薄れてゆく。これでお別れか、と最後に小さくため息。結局、何のために生きてきたのか分からずじまいだった なと思いながら、俺の意識は完全に闇の中へと消えていく。意識がなくなる最後、ようこそという女の声が聞こえた気がした ……。 ゆさゆさと体が揺り動かされる感覚。そんなことありえない、俺はもう死んでいる筈だ。だからこの感覚は、生前の未練が 生み出した幻。 「あの、起きてください」 ……女の声。いや、これも幻聴に違いない。というか、ありえない。聞いたことない声だし、俺の部屋に見知らぬ女があが りこむなんてますますありえない。さっきからありえないばっかりだ。 「あのー」 「……」 「起きてますよね。起きてくださいってば」 ぺしぺしと頬を叩かれる。認めるしかないらしい、俺は今確かに生きていて、誰かが俺を起こしている。ここがあの世とか だとしたら、ありがたいんだが。そう思いながら目を開ける。 目を焼く光に思わず手をかざす。そして、疑問が浮かぶ。今のは電灯の光じゃなく、太陽の光だ。頬を撫でるのは風、俺の 体を支えているのは草。だとすると、ここは外? 「なんで……」 「おはようございます。こんな所で寝てると風邪を引きますよ」 目が光に慣れ、視界がクリアに。目に入ったのは緑色の帽子を頭に乗せた女。赤い髪が風になびいて、幻想的に見えた。次 に目に入ったのは着ているチャイナ服……て、何故チャイナ? 「アンタ、誰だ……?」 「こっちの台詞ですよ、それは。ここは私が世話をしている花壇なのに、水をやりにきたら貴方が寝ているんですから」 「花壇?」 起き上がる。辺りを見回せば確かに、花が咲き誇っていた。 「なんで、こんなとこに」 「……その格好、貴方外の人みたいですね。また迷い込んだのかな」 「外の、人?」 意味が分からない。だが、正直どうでもよかった。ただ、死ねなかった……その事実だけが、俺に重く圧し掛かる。まだこ の辛い世の中を生きなければならないのかと、絶望だけが残る。 「何か、あったんですか?」 「なんで」 「辛そうな顔をしてます。今にも死にそう……いえ、死にたいって顔」 彼女の顔を見る。こちらを伺うような顔、そんな顔を見ているのが辛くなり視線をそらす。 「関係ないだろう」 「そうですけどね。でも、そんな顔されていると気になりますから。ほら、話してみてくださいな。見ず知らずの相手でしょ うけど、話ぐらいは出来ますよ」 にこにこと女は座り込み、俺を見上げてくる。どうしたものかと思案したが、ため息と一緒に腰を下ろす。こんなこと、他 人に……しかも見ず知らずの人間に話すことじゃないのに。気分を悪くしても知らないからな、と前置きをおいて俺がここに いることになるまでの経緯を簡単に話す。 仕事が思うようにいかず、仕事でもプライベートでも人間関係がぎくしゃくし人と関わることが嫌になり、幼少の頃イジメ にあっていた時から溜まっていた生きるといことへの疲れが限界に達し、死ぬ決意をしたこと。自室で親宛に遺書を書き、睡 眠薬を大量摂取することにより死のうとしたこと。だが、気がつけばこんな所でこんなことを話していること。 誰かに聞いてもらいたかったのか、饒舌に丸ごと包み隠さず白状していた。 「結局は、俺の精神が弱いから死のうなんて思ったんだと思う。そうさ、俺は弱い。ちょっとしたことですぐ落ち込むし、面 白いことなんて何も言えない。不器用だし、友達少ないし……って、こんな事言われてもそっちは困るよな。ははは、見ず知 らずの相手に何言ってんだろ俺、馬鹿みてぇ」 泣きそうになる。視界が滲み、涙が溢れそうになるのを隠すために膝の上に額を落として俯く。そんな俺の頭の上に、ぽん と何かが落とされる。少しだけ視線を動かして見てみると、そこには彼女の手。 「泣いていいですよ、今ここの屋敷の人たちは全員出掛けていますから。思いっきり泣いて、すっきりしてください。聞いて いるのは私だけ、誰にも言いません」 柔らかい笑顔で、俺の頭を撫でる。今まで堪えてきたものが一気に溢れ、俺は恥も外聞も投げ捨てて大声で泣いた。そんな 俺を彼女はずっと撫で続けてくれた。その手の温かみが、今の俺には優しすぎた。 それが、彼女――紅美鈴との出会いだった。 ---チラシの裏--- ちょっと最近鬱ってたので、逆にそれを活かしてみる。 いつもはほのぼのというか、ギャグ路線で受けてる○○と攻めてる美鈴だけど、こういうのもたまにはいいよね。 美鈴の無限の包容力に包まれて、泣いてすっきりしたい。 たぶん、続く。わからないけど。 ---チラシの裏---
https://w.atwiki.jp/aniwikigalaxystar/pages/600.html
『紅 美鈴(ほん めいりん)』とはZUN制作の弾幕STG「東方Project」のキャラクターである。 概要 初出は東方紅魔郷3面ボスで登場。 以降、複数の作品、東方文花帖、東方萃夢想にもパッチを当てれば使用可能(台詞はあるもののストーリーは無し) 東方非想天則にして主人公として使用できるようになった。 紅魔郷から8年もの歳月を経て、萃夢想から5年の快挙である。 紅魔館主である「レミリア・スカーレット」に仕え紅魔館で門番を務めている中華風の妖怪。 具体的には判明していないが種族は妖怪であるが、どういった種類の妖怪かは不明。 ちなみに妖怪なので年齢も不詳。 神主(ZUN氏)にも名前を忘れられるという超不憫なキャラであるが、その事が二次設定にも影響を与えており彼女が登場する二次創作も多い。 また第2回東方最萌トーナメントの優勝者でもある。 本人曰く、番人してるだけの普通の人。 門番として紅魔館に不法侵入者を撃退するために戦い、遠慮なく攻撃してくるようだが、その場合も謝って退散すれば見逃してくれる。 それとは別に武術の達人である事により、武術家としも有名で武術の試合を申し込まれることも多く紅魔館の主、レミリアも試合の観戦を楽しんでいるらしい。 弱点らしい弱点はないらしく能力特化型ではない、いわゆる万能型の妖怪であるため、ある程度以上の妖怪に対してはあまり強い方ではないが人間が彼女と戦うとなると死角が無いために相当手強い相手。 ちなみに人間でも武術の達人であれば美鈴と勝負にはなるようだが、やはり人間と妖怪の差からくる能力差等により、美鈴に勝つ事は非常に難しい。 人間が彼女に勝つためには人間代表である「博麗 霊夢」「霧雨 魔理沙」のように強力な能力を持つか、何らかのルールを定めて闘わないとまず勝てない。 『求聞史紀』に記された情報では、彼女の日課は朝には太極拳を舞い、昼には昼寝をしている姿が目撃されていたりと、暢気さを感じさせるエピソードが多い(『儚月抄』では、紅魔館に八意永琳や鈴仙・優曇華院・イナバが忍び込んだときにも昼寝をしていたらしい。) 門番以外にも色々と仕事を任されているらしく『三月精 第2部』第8話では紅魔館敷地内の見回りも行なっている。 東方文花帖(書籍)の記述によると紅魔館の花畑の管理も任されているようで「パチュリー・ノーレッジ」が花畑に作ったミステリーサークルの対応に苦慮している様子が描かれている。 妖怪の割には穏やかなエピソードが多く、紅魔館でしっかりした衣食住が保障されてるためか性格は穏和で、話しかけても普通に世間話をしたり愚痴を聞かされたりするという事から危険な妖怪ではなく紅魔館への不法侵入を試みたり喧嘩を売ったりしなければ襲ってくることはない。 人間とも親しく話すこともあったりと、一般人からの紅魔館のイメージアップにも貢献している。 また、メイドである十六夜咲夜に対して丁寧語で喋り、向こうはタメ口という描写が公式でもよくあるが、門番とメイドの上下関係についての公式見解は無いので、口調は単に彼女の生真面目な性格の現れとも取れる。 ただし、常に敬語を用いて話すような性格かというと、原作の会話からはそうでもないらしいことがうかがえる。 相手への呼称は、レミリアを「お嬢様」 パチュリーは「パチュリー様」 咲夜は「咲夜さん」 『東方萃夢想』では黄昏フロンティア配布の追加パッチを適用した状態で条件を満たすと使用可能になる。 登場した際には、武術の達人らしい独特のコンボシステムや高性能な近接戦闘用スペルカードを装備していたが、攻撃力不足、射撃が不得意なため接近が難しいこともあって弱キャラとなった。 『東方非想天則』では最初から自機でありストーリーモードが存在し主役の一人に抜擢され「太歳星君の影」を名乗る大ナマズと戦う。 その際に性能や挙動に大きな変更が加えられ接近戦性能は高く火力も上方修正されたものの、射撃性能や固め等の点にやや難がありだが、全体的な自機性能はかなり向上した。 特徴、年齢、など チャイナドレスっぽい淡い緑色を主体とした民族風の衣装に身を包み、帽子に付いた星には「龍」の文字が刻まれている。 髪は赤く腰まで伸ばしたストレートヘアー。 側頭部を編み上げてリボンを付けて垂らしている。 目の色は青がかった灰色。 身長は「高」 紅魔郷ではスリットの下には下穿きも何もなく、脚線美をドット絵でそれとなく披露していた。 しかし萃夢想や非想天則では白い下穿きを穿いる。 テーマ曲 『東方紅魔郷』 ・「明治十七年の上海アリス」 『東方非想天則』 ・「上海紅茶館〜Chinese Tea(アレンジ)」 二つ名 ・華人小娘(紅魔郷、萃夢想、求聞史紀、非想天則) ・色鮮やかに虹色な門番(東方文花帖) 能力 ・気を使う程度の能力(紅魔郷、求聞史紀) 体内のエネルギーを目に見える形にする能力。 要するにオーラといった類の武術における『気』のことであり「気を使う」と言っても「気配り」とかそういった意味の気ではない。 種族 ・中国人風の妖怪 呼称 紅魔館の住人には基本的「美鈴」 スペルカード 紅 美鈴の項目に記載。 二次設定
https://w.atwiki.jp/tohohokuto/pages/22.html
紅美鈴(ほんめいりん)は、紅魔館※未作成ページの門番をしている妖怪である。羅漢仁王拳※未作成ページの使い手。 ジャギによくセクハラをされる。 設定 はるか昔に幻想郷へとやってきた羅漢仁王拳※未作成ページの伝承者と出会い、それがきっかけで羅漢仁王拳を習う。 登場話 第二話 第四話 第五話 第十話 第十四話 関連項目 紅魔館※未作成ページ 羅漢仁王拳※未作成ページ 十六夜咲夜※未作成ページ ジャギ※未作成ページ
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/573.html
美鈴1 1スレ目 16 美鈴へ 「名前を半分日本っぽくしてみない?」 1スレ目 39 家名なんていらない… お前とだったら…名前なんていくらでも捨ててやるっ!ちゅうごく! 身分の違う二人が結ばれようとして自分の親(爵位があるとなおいい)の反対を押し切って駆け落ちするシチュエーション。男は時に身分より家名より「ちゅうごく」を取らねばならないときがあるのさ… 1スレ目 43 「あぁん? お前が妖怪でも幽霊でも、仮に人間だったとしても関係ないね。 俺が好きになったのは、……美鈴、お前という存在全てなんだから」 我ながらクサいなorz むしろ心が痛い。 仮に幻想郷の住人に告ったとすると大半は種族の違いで苦しむと思うのですよ。 その辺を踏まえつつ。 背景は夕日に染まる紅魔館前でガチ。 1スレ目 51 ふっふっふ。皆さん。何を勘違いをしているのですか? 彼女を落とすためならば、下手な言葉やシチュエーションなどはいりません。 この一言だけで、泣きながら胸に飛び込んできてくれることでしょう。 美鈴「私の名前を……」 俺「ホンメイリン」 美鈴「う、うわぁぁぁん!!ありがとうございますぅぅぅ!!」 ……告白じゃねぇな。これ。 1スレ目 279-280 館の庭にある草木の手入れを命じられたのは、雨季の終わった暑い日のことだった 余程生育の早い草木なのか、庭は雑草が伸び放題。 これは厄介な仕事だ…だが館の主の命とあっては止むを得ない。まだ目的は果してないのだ だが庭は広い。これを1人でやれというのだから無茶にも程がある 誰か手伝いぐらい寄越してくれてもいいだろう─ 「大変そうね。暇だし手伝うわよ」 ふと声がかかり、振り向いた時はその人がいた 「…あら? 貴方以前神社にいた人かしら?」 「そうです」 外界─ここの人たちはそう呼ぶ─から来た俺は、居着くところも無く神社に世話になっていた その時偶然一回会っただけなのに自分を覚えていてくれた…それだけで嬉しかった 一目惚れだった。俺はそのためだけにここへ来て使用人に応募したのだ 我ながら莫迦だとは思う。だがそんなことは些細なことだ 「新しい使用人って貴方かしら? 男の人は珍しいわね。純粋な人間も珍しいけど」 手際良く雑草を処理しながら、彼女が話し掛けてきた そうか、彼女も人間じゃないのか… 「そうです、ええと─」 「私? 紅美鈴よ。宜しくね」笑顔が実に眩しい。 「宜しくお願いします。美鈴さん」 「美鈴でいいわよ。メイド長や御嬢様以外に上下関係を気にする必要は無いわ。普通に話しても構わない。私はそういうの気にしないし」 「ありがとう…美鈴」 ─それからというものの、仕事の目を盗んで美鈴と会っては他愛も無い雑談で盛り上がった 外界の話は、どんなことでも興味があるらしく楽しそうに聞いてくれた お使いや庭の手入れにかまけては、美鈴と一緒に行動した。仕事が捗らなくメイド長に叱責を 受けることもしばしばだった。──そろそろ頃合だろうか たまの休日のある日、館の門にいってみる。そこには美鈴がいるはずだ 「あら、わざわざ来なくてももう終わるのに」美鈴は笑って俺をたしなめるように言った 「…どうしても話したいことがあるんだ」俺は決意してきりだした 「……え、、何?」美鈴の表情が普段は見せないものになる 「手、出して」 「…?」差し出された手を両手で握る 「え、、ちょっと…」 美鈴の顔が夕日にも負けず紅潮するのが分かった 「好きだ…美鈴。君のことが」 「……ほ、ほ、本気? 私なんてただの門番だしヘマばかりしてるし」 顔を真っ赤にしてもじもじする姿がなんとも可愛らしい だがその手はぎゅっと俺の手を握り返している。身体は嘘をついてない 「それに私は、人間じゃないのよ…」 「そんなことを気にするんだったら、最初から好きだとは言わないさ。美鈴 君が何だろうが関係ない。好きになってしまったんだから…」 「うん…ありがとう。私も貴方と一緒にいたい…」 美鈴の身体を寄せ、優しく抱きしめる この紅い幸せは、もう手放さない --------------- 文章稚拙だなぁ、味付けを激甘にしたいがどうも難しい 1スレ目 465(本文は別のスレ) 気持ちの良い目覚めが今日もやってきた。 とんとんとん、とリズミカルに包丁がまな板を叩く音。ことことこと、と鍋の中で煮える音。ほのかに漂う、味噌の香り。 ここしばらく、俺は枕もとの時計のベルの世話になっていなかった。暴力的な大音量にとって変わったのは、懐かしい家庭の空気。 俺は掛け布団を跳ね除けるように、んっ、と大きく伸びをした。ついでにひとつ、大きなあくび。カーテンに手をかけ、隙間の光を一気に拡張。朝の活気の源が部屋に満ち、俺は僅かに目を細める。 今や、時を指し示すという根源的な職務一筋に働くこととなっている目覚し時計をちらりと見やる。出勤の時間には十分に間があった。 寝室を出て、まずはなにより排泄・洗面。せっかくだ、ひげも綺麗に剃っておこう。アイツがまた、ちくちくする、と文句を言うから。とんとんとん、というリズムを聞きながら、俺は四枚刃を頬に当てる。なんとはなしに、ふふ、と笑みがこぼれた。ちょっと恥ずかしい。 居間に入ると、彼女の後姿がテーブル越しだ。深く、紅いその髪は、いつ見ても綺麗だった。 「おはよう、美鈴」 「おはようございます、○○さん」 そういって、紅い髪に朝の光を湛えた彼女が笑顔で振り返ると、もうそれだけで、たまらなく幸せな気持ちになってしまう。 紅美鈴。 それは過去の名。 今の彼女は××美鈴。 俺の、一番大切な人。 お前が好きだ。 そう素直な気持ちをぶつけたとき、彼女は明らかに狼狽した。 当然と言えば、当然のこと。 かたや人間。かたや妖怪。普通の恋愛ではありえない。陳腐な言い方をするならば、禁忌を犯す、危険な恋。 でも、もうそんなことはどうでも良かった。日に日に大きくなるこの妖怪への特別な感情に、俺の心はもう限界を迎えていた。不思議だった。こんな感じは。そう、あの初恋というやつ以来ではなかったか。 君に触れたい。 君と在りたい。 君と笑いたい。 君と泣きたい。 君と、全てを分かち合いたい。 俺は決して恋愛上手な人間ではない。むしろ逆に、その手の経験には乏しい方だと言える。 俺には上手な恋愛のテクは無い。 俺には彼女を酔わせる言葉さえ無い。 ただ、彼女の大きな双眸をじっとみつめた。 それが俺の限界。これが俺の精一杯の想い。 永遠さえに感じられる沈黙が流れた後、彼女はやがて口を開いた。大きな双眸の迷いの色は、明らかだった。 時間を、ください。 ゆっくりと、言葉をつむぎだすように紅髪の少女が答える。 三日、三日です。三日間だけ時間をください。三日経ったこの刻に、この紅魔館の前に来てください。そのとき、確かな言葉でお答えします。 俺は了解し、その場は別れた。 俺の心に去来する様々な思い。 ついにやったと喝采をあげる心。なんて恥ずかしいと顔を覆う心。明るい未来を描き踊る心。暗い未来を描きうつむく心。 小学生の頃の、遠足の前日のときの浮かれた感情と、宿題を忘れたときの張り詰めた感情が、複雑に交錯する感覚。 時は流れる。或いは長く、或いは短く。 仕事場でパソコンの無機質な画面を眺めていても、ふと浮かぶのは彼女の双眸。 バカな。いまさらそんな歳でもないだろう。 しかし、言葉は心を偽れない。 ……好きだ、美鈴。 あれから三度目の日が昇る。俺は予定の時刻よりもいくらか早めに紅魔館に到着できるよう家を出た。いつもの様に博麗神社の結界をくぐり抜け、幻想の世界へと足を踏み込む…… 筈だった。 暗い。あたり一面真っ暗だ。何だ、一体どうしたというのだろう? 幻想郷に何かあったのか?いや、そもそもここは、幻想郷なのだろうか。 博麗神社の結界の先。そこでは何が起こっても不思議は無い。幻想郷に遊ぶようになってから、そうしたことは数え切れないほど目にしてきたし、数え切れないほど体験してきた。 これは、少し嫌な予感を感じるべき場面なのだろうか。 『残念。安心して大丈夫なのよ』 余裕を持った大人の女に特有の声。 ああ、この話し方、そしてこの空間。わかった、貴女、あの人だ。 『さすが神社の結界をするする抜けちゃうだけあるわね。良い勘よ、貴方』 状況証拠がそろってます。結界抜けは関係ありませんよ。もっとも、実際に隙間に落とし込まれたのは初めてですがね。紫さん。 『その余裕、わたしの従者に分けてあげたいわ』 俺もいっぱいいっぱいですよ。爪先立ちで、ようやくと。そのあたりは巫女さんにお願いしてください。それより、俺は何時ここから出してもらえるんでしょう。ご飯にするというのなら、悪あがきしますよ。ちょっと今は死ねなくて。 『違うわよ。ちょっとね、貴方が早すぎたものだから。準備に意外と手間を取ったものだから。まったく、どこの従者も一緒なのよね。要領が悪いたらありゃしない』 何時何度聞いても、幻想の言葉は難解です。 『何時何度も聞くものじゃないわ。……ああ、そろそろね。それじゃあ、華麗に御登場よ』 難解です。 『新郎さん♪』 ……? 次の瞬間、闇が引いた。身体が落下感にとらわれる。すとん、と片手両足を上手く付き、顔を上げると… 「……美鈴?」 その紅い髪、大きな双眸を見紛う筈も無い。だが、その身に纏った、いつもの緑の衣装とは違う、透き通るような純白のドレスに一瞬惑わされる。 「……○○さん…わたし…わたし……」 大きな双眸にあったのは、迷いの色ではなく、大粒の涙。 両の手で握ったブーケが小刻みに震えている。 ああ、そうか。そういうことか。 何も言わずに俺は美鈴の柔らかな身体を抱きしめた。 途端に、美鈴の瞳に溜まっていたものがぼろぼろと零れ落ちる。 「ふ…ふぇええええええええええん!」 やれやれ、このめでたい席でいきなり号泣とは。あーあー、化粧が落ちてるし。 「わかったわかった。はは。もう、仕方ないな。いいからさ、泣くのはよせって……」 言いながら、俺自身かなりの鼻声だったのだけれど。 俺だけの、美鈴の涙。 ちょっと泣いたって良い筈だ。 紅魔館でとりおこなわれた、俺と美鈴の結婚式。 勿論人間と妖怪、正式な結婚など望むべくもないが、お祝いと言うか、まあそういう類のものだ。そして同時にお別れ会の意味もあった。美鈴は俺に合わせて幻想郷を出るつもりらしい。俺は幻想郷の住人となっても良いと言ってはみたが、結局は普通の人間、心身が持たないと言われてしまった。それは美鈴も同じではないかとも思ったが、どうやら決意は固いようなのであきらめた。 美鈴はまずレミリアに報告し、暇を出して欲しいと願ったそうだ。 レミリアは、『あらそう。好きになさい』とだけ答えた。そして美鈴を追い払ってすぐ咲夜を呼びつけ、こう言った。 『いまから結婚式の準備をするとして、どれほど時間がいるものかしらね』 式にはかなりの出席があって、俺も美鈴も素直に嬉しかった。 紅魔館の面々は勿論、霊夢や魔理沙、八雲一家に西行寺主従、永遠亭の月人たち…… 美鈴が感激のあまりに涙を流しまくりその度化粧を直すので、着付け・メイクを担当してくれた咲夜は大変そうだった。だが、ブツクサ言いつつメイクを直してやるその横顔は、それでもやはり嬉しそうだった。 そんなふうに幻想郷の住人達から温かい祝福を受ける美鈴を見て、俺はふとこんなことを思う。 俺は、今以上に美鈴を幸せに出来るのだろうか? ひょっとしたら、俺のしようとしていることは…… 今更そんな思考が頭をめぐる。 だが、しかし―― 「○○さん。わたし、とっても幸せです」 俺の隣のこの笑顔を見ていると、何故だか大丈夫だと思えてくるので、俺は不思議に、そして可笑しく思うのだった。 まだまだ。もっと幸せにしてやるよ、美鈴。 りん、と涼しげに響く、鈴の音。 2スレ目 121 白黒魔法使いが門を通る。……結局今日も門を守れなかった。 「……大丈夫、みんな?」 倒れた美鈴門番長が体を起こし、隊のみんなに声をかける。 「何とか生き残ってますよ。……ったく、毎回毎回我々を潰して行かんでも……」 「仕方ないじゃない、咲夜さんが門を守れって言う以上はそうしないと」 我々の守る紅魔館にとっては今の白黒は(一部以外)攻撃対象であり、迎撃しなければならない。 そうなれば向こうも反撃してくるのだが……その威力が半端じゃない。私自身最初の頃はこんなことで死ぬのかと思った位だ。 「さて、動けるものは重傷者を抱えて撤収。急いで治療だ」 私が手を叩いてみんなに伝える。さて、少し忙しくなりそうだな。 「副隊長?」 「あ?なんだ」 「隊長のこと好きなんですって?」 「ぶほぅ!?」 重傷者を医務室に送り、今ここにいるのは私と軽症者のメンバーのみ。門番長は医務室で治療を手伝っている。 手当ても終わり、一服入れようかと茶を入れてすすった矢先に先ほどの質問が飛んだわけだ。吹かんわけがないだろう。 立ち位置が悪かった奴等はもろに私の唾液つき茶をかぶっている。 「うぇぇ、苦い……」 「日本茶だから当たり前だ」 液体まみれでそんなことは言わないでほしい。 「で、あんだって?」 「ですから、副隊長は隊長がすあぢゃぢゃぢゃ!?」 「だーかーらーなーんーだーっーてー?」 もう一度同じ言葉を抜かしたので思いっきり日本茶を浴びせる。(ちゃんとやかんで沸かしたお湯を入れて急須から直で) 「……あの?」 「なんだそこの」 「もしかして、恥ずかしがってますか?」 う。 図星を指され、思いっきり硬直する。……やるなこいつ。 「うわ、副隊長赤くなってますよ……」 「やっぱりあんなでも恋する乙女なんですねぇ……」 やかましい。……まあ確かに色恋沙汰とは無縁だといわれても仕方ないが。 「……で、その相手は?」 「はい?」 「聞いた相手だ。そいつはしばらく私の部屋に来てもらおうか?」 「いや、副隊長自身ですって」 「……あ?」 思わず目を点にしてしまう。それに他の隊員が言葉を続ける。 「この前門番隊で飲み会やったときに暴露してたじゃないですか。『私はー美鈴門番長が好きだーっ』って」 「そうそう。幸い隊長本人はいなかったんですけど、みんながんばって隊長に言うのこらえたんですよ?」 なんてこった。私自身が話したことだったとは…… 「スコップ貸してくれ。埋まってくる」 「はいはいストップストップ副隊長!落ち着いてください!そんな事したって恥は消えませんよ!」 「いやいや副隊長として責任は取らねば。あ、あと花束と線香よろしく」 「とりあえず正気に戻ってください!」 外に向かって猛ダッシュする私に隊員の一人がタックルを仕掛ける。それに重ねて上に乗りかかってくる門番隊メンバー。 門番長が来たときには…… 「……みんな何やってるの?」 「おしくらまんじゅう」 「マトリックスごっこ」 「のされた人達の真似」 「……ネタが出ません」 「バカ、考えておけよ」 詰め所の中に人肉饅頭(比喩)が出来ていた。 そんなバカをやった後に業務を続け、ようやく終了。 隊員たちが帰って、後は門番長に始末書を書いて提出するのみである。 「……ふう。まったく被害がとんでもないな。妹様の暴れ方よりはおとなしいがせめてもうちょっとこう……」 「始末書出来た?」 「うえぁはい!終わりました!」 改めて被害報告を見てぶつくさ言ってたらいきなり門番長がやってきた。ギクシャクしながら始末書、被害報告を渡す。 「ありがとう。……また咲夜さんに怒られるなぁ……」 「……まあ、入れなきゃ入れないでパチュリー様に怒られますしね」 ヴワル魔法図書館長(?)のパチュリー様こそが、唯一白黒を受け入れる相手。 一回撃退したときには地味に責められたらしい。門番長、所詮私達は私情(パチュリー様)と仕事(メイド長)に挟まれた中間管理職なんですよ。 「そうよねぇ、はあ、この仕事は辛いわ……」 「でも、私はここに来て良かったと思ってますよ?」 「えぇっ?どうして?」 驚愕の顔をこちらに向ける。……いや、どうしてって…… 「それは……その……」 「他の職場より休憩少ないし、夏には日射病で倒れるかもしれないし、ずっと立ってなくちゃいけないから足に豆が出来るし……」 妙にリアルだなおい。……もしかして門番長、全部経験済みとか? 「それに、上司が頼りないし……」 「いや、それはありません!」 ただの自虐になったとき、私は声を上げてしまった。 「……え?」 「門番長。それは自身を過小評価しすぎです。……まあ、確かに少しはしくじるときもありましたけど、それでも私達を支えてくれる門番長にみんな惹かれています」 これは本当の話だ。むしろ、この人だからこそこんなにも隊がまとまってくれるのかもしれない。 「それに……門番長自身がそんなこと言っちゃ悲しいじゃないですか。私は、明るい門番長が好きですから」 「……本当に?」 「しつこいですよ門番長。私は貴女が好きなんです。貴女と一緒にいれればいくら白黒が来ようが妹様が暴れようが平気ですよ」 「え……」 私の言葉に門番長が固まった瞬間。歓声と口笛が詰め所の中に響く。 「なっ……」 「ようやく告りましたね副隊長!」 「ひゅーひゅー、熱いねこのこの!」 「隊長、副隊長?今のお気持ちは?」 ……要は帰らずにずっと外で待ってやがったわけだこの阿呆隊員どもは…… 「え、えっと、もしかして……」 まだ状況が飲み込めなかった門番長が私に聞く。 「あー、その……今の言葉は、いわゆる一つの告白って奴ですよ。バカ騒ぎしてるこの阿呆どもは単にどうなるか見てただけです」 「……私のことを愛したい、と?」 「ええ。そうなりますね……」 その瞬間、門番長の体が倒れる。 「え、ちょ!?」 「……気絶してますよ、副隊長?」 「よっぽど衝撃だったんでしょうね……」 隊のみんなが私に告げる。 …………はあ、とため息をついた。 「門番隊、美鈴隊長を運び部屋に入れておけ。私はこれを届けて……何だ?」 じーっ、とジト目の視線が突き刺さる…… 「副隊長が運んでください」 「右に同じ」 「下に同じ」 「左に同じ」 「上に同じ」 「……わかったよ」 門番長を担ぎ、始末書も持つ。……どうかメイド長に笑われませんように。 まあ、その後散々小言を言われてしまい、後ろの門番長には見向きもしなかったわけだが。 「メイド長の小言はきつい……あれは精神を削るな……」 「ううっ、すいませんさくやさん……」 門番長も削られていたらしく、さっきからこれの繰り返しだ。 「いやぁ、ちちは、ちちはゆるしてください……」 「門番長。それどんな寝言ですか」 「…………あれ?咲夜さんは?」 ようやく門番長が起きてくれた。 「始末書の提出はさっき終わりました。もう業務は終わりですよ」 「……あ、ごめんなさい、わざわざやってくれて」 「ところで。さっきの答えは……」 「さっき?…………あ」 つい先ほどのことを思い出し、なぜか顔を赤くした。 「……どうしたんですか?」 「えっと、あんな事言われたの初めてだったから……どう応えればいいかわからなくて、つい倒れちゃった」 ついで倒れられるのかこの人は。いや妖怪か。 「別にいいですよ?はいかいいえの二つでも」 ……後は門番長の答えを待つのみ。しばし黙っていたが、ようやく口を開いてくれた。 「…………はい。」 口から紡がれたのは、是。 「……ありがとうございます」 門番長を担いでいる手前、騒ぐこともガッツポーズも出来ないが、それでも喜びは十分出せた。 「そう言えばここってメイド同士とかの恋愛ってOKなんですかね?」 ふと気になり、門番長に聞くと。 「大丈夫だと思う。大抵の人は遠くから見たりして喜んでるだけだけど。……よかったら、系統見る?」 「そんなモンあるんですか……」 系統って……まさか『何々派』『何々派』って分かれてるとか? 「じゃあ、見て行きます。ついでに門番長の所に泊まりますね」 「あ、うん。」 見せて貰った系統図は物凄く細かく書かれていて、私に「だからメイド長に怒られるんですよ」と突っ込ませるには十分であった。 まあ、その後は……聞かないように。 ヒントとして、次の朝に私と門番長は揃って遅刻したことをここに記しておくことにする。 **** **** いやあ上善うまいなぁ(挨拶 とりあえずメイドと中国で。勿論女同士。うはははどうせ私は常任と思考が違います(悪い意味で)よ。 (以下チルノの裏) ちなみに。中国の言っていた系統には。 ーーーーーーーーーーーーーーー 現在、紅魔館には三つの勢力がある。 一つは紅魔お嬢様部隊。一つはⅤ・M・R(ヴワルマジックライブラリー)部隊。そしてあと一つが近衛メイド部隊。 ……それぞれレミリア様、パチュリー様、そして咲夜さんにハァハァするだけの部隊だが。 その三つの勢力は全て『我が萌えが最強なり』と謳っている。だけにあまり部隊同士が干渉するのは禁忌とされていた。 ……ただ一部隊(と一人)を除いては。 この三部隊には一つ矛盾がある。それは…… 『近衛メイド部隊だけが紅魔お嬢様部隊に接触してしまう』。 近衛メイド部隊の萌え対象である咲夜さんが紅魔お嬢様部隊に入ってしまっている。だからこそ二つの隊の接触は頻繁に起こる。 というかなんで私の部隊はないんだろう…… ーーーーーーーーーーーーーーー とか書かれていました。(一部抜粋)ちなみに元々咲夜さんネタで使う予定の没稿から抜き出しています。 2スレ目 346 「美鈴、好きだ!結婚してくれ!!」 2スレ目 366 ここの門番はちゅうごくと言って、かなりしぐさが可愛い。また、コッペパンが好物らしい。 ということで紅魔館の門の手前にコッペパンを置いてみた。 ちゅうごくが様子をみている ちょっと可愛い。さらに観察を続ける。 ちゅうごくが他人の目を気にしながらコッペパンに近づいてくる。 ちょっとおどおどしているとことかもう犯罪級に可愛い。さらに観察を続ける。 ちゅうごくがコッペパンにたどり着いた。 まだ警戒している様子だ。…その恐る恐るな感じがそそるね。 ちゅうごくはコッペパンを手に入れた。 あのうれしそうな顔を見てると抱きしめたくなる。さて、自分も出ようか。 おーい、ちゅうご…あれ?何そのやっとストーカーを見つけたって顔h(セラギネラ9 …ちょっとした衝動で書いた。今は…オチが弱いことに少し反省しているorz 3スレ目 121 世間はクリスマスだっていうのに、行きつけの立ち飲み屋で独り寂しくおだてを上げていると、 マスターがおごりだと言ってレモンサワーを出してくれた。 嬉しい事に、カウンターの端に座っている女性を紹介してくれると言う。 「お兄さんがこんな日に一人で寂しそうにしてたから、ついね。 どう? ちょっとだけ」 美鈴だった。 生粋の妖怪である彼女がなんでこんな所に、とも思ったが、しかし彼女は上手いもんで、完全に 周りでしみじみと飲んでいる連中と同化していて、普通のねえちゃんにしか見えなかった。 話しても気さくな奴で、最初はまず自分のついてない職場事情を愚痴り、男運の無さを愚痴り、 ついこちらが「僕も似たようなもんで――」と始めたら、今度は一転聞き上手になる。 質問一つ、相づちを打つタイミング一つ気が行き届いていて、僕のつまらないジョークも上手い 切り替えしで更に盛り上げてくれるのだ。 結局そのままの勢いに乗せられて二軒梯子してしまい、その勘定は僕持ちになってしまったが、 彼女の話しに巻き込まれた店のおっさん共も大分値切られていたし、全く悪い気はしなかった。 久しぶりに楽しい夜だった。 「ちぇ、ちゃっかりしてる奴だな。 それにしても、悪魔の館の門番がこんなに人間ぽい事やってて、勤まるもんなのか?」 それでも少し悔しかったので、別れ際の餞別に彼女をからかってやる事にした。 いや、正直なところ下心もあった。 もし噂に聞くように、彼女が今の職場で冷遇されていると言うのなら、いっそうこのまま・・・・・・。 しかし彼女は首を横に振って、そして堂々として答えた。 「もちろん適任ですとも。 だって私があんまり妖怪として頑張ってたら、館に人間が迷いこんでこないじゃない?」 美鈴はケケケと笑うと、まるで溶け込むように夜霧の中へと消えていった。 「そんな余計な事、言わなきゃ間抜けを一人食えたのに・・・・・・」 ぼやいてみたが、あの闇の向こう側は人の生きる場所では無い。 必死で踏みとどまってしまう僕は、所詮人間であった。 3スレ目 281 ある日、紅魔館の門番を尋ねに来た男がいた。 門番である女性はその男を見つけ排除しようとする。 「待ってください!美鈴さん、僕は貴女が好きです!」 「……!!」 男の突然の告白に彼女は俯く。 「…私を……な」 彼女は小さな声で何かを呟く。 男は彼女に近寄り聞き取ろうとする。 「私をその名で呼ぶなーー!!!」 「ええーー!!」 彼女は突然怒り出す。そして男は……合掌 なんか変ですな…まぁネタなんで 3スレ目 799 「たのもーぅ! フランドール・スカーレット様にお目通り願う!」 「・・・えーと、妹様の存在は外にはあまり知られてないって言うか普通の人間が知るわけないって言うか帰れ」 「めーりんめーりん通してめーりん!」 「帰れ」 …… 「よし、第一関門で挫折!」 「『よし』なの? 私はいいけど」 「だって中の人が美鈴派だし」 「そーなのかー」 劇終 3スレ目 802 「隊長」 「何」 「好きだぁぁ」 「はいはい。遊んでると後で叱られるわよ」 「本気なのになー」 「場所と時間くらいは選びなさい。雰囲気も何も無いじゃない」 「今言えって電波が来たんだよ」 「あんまり阿呆な事言ってるとクビにするわよ」 「だっていつでも言いたいし」 「しゃんとして!もう、単なる妖精でも気を抜いてると危ないわよ。あなたただの人間なんでしょ」 「拾ってくれてマジ感謝してます」 「ああもう、明日も聞いてあげるからちゃんと働いて」 「いえすめむ」 「(明日もちゃんと言いなさいよ)」 「死亡フラグ?」 「………いつでも立ってるわよ。ほら、咲夜さんに言いつけるわよ。動いた動いた」 「いてて。最初はあんなに優しかったのにー」 「けじめはつけるの。嫌ならいつでも放り出すわよ」 「でも好きだー!」 「はあ。場所と時間を選べって言ってるの」 「じゃあさ、選んだら聞いてくれる?」 「ふん」 ――――馬ぁ鹿。 3スレ目 959 喫茶『上海紅茶館』 「いらっしゃいまー……なんだアンタか…」 「名前すら呼んで貰えないとは酷いな、てか今一瞬でた笑顔すごい良かったぞ」 「ふん…褒めたところでタダにはならないわよ?」 「ちぇっ、ケチ。しかし、ある意味メイド喫茶なんだし、それらしい口調にしたらどうだ?」 「アンタ以外にはしているわよ。モチロン事務的に」 「うわ…それ萎えるなぁー…」 「知ったこっちゃないわ。だいたいこんなカッコさせられるとは思ってなかったし…」 「今度その格好で門番やってみればどうだ?」 「汚れたら咲夜さんにはアンタが汚したって言うことにするけど、それでもいい?」 「それは勘弁…でもまぁ、良かったかな」 「…何が?」 「事務的に愛想笑いされるより、少しだけでも素の笑顔のほうを拝めた訳だし。 変にヘラヘラ笑ってるより、ソッチの…なんというか、ちょっぴり精悍な笑顔のほうが俺は好きだな」 「な…いきなりそういう事を言うなー!!」 「別に良いじゃん、事実なんだしさ」 「わ、わかってる…そんなこと………と、とにかく!注文を言いなさい!早く!」 「ういー、じゃ、アイスティーな」 「わかった、少し待ってて」 「マスター、アイスティー1つ」 「はい、どうぞ」 「あのー何だか一瞬で注文が出てきたのは気のせいですか?って、あれ?…これ1つ多いですよ?」 「いいからいいから、少し休憩してきなさい。愛しのカレがお待ちよ?」 「な!?……そ、そんなんじゃ」 「もうタイムカードは押したわ。これ以上働いて貰ってもお給料は出ないわよ?」 「(待て、慌てるな!これはきっと孔明の罠だ!!)」 「……はい、アイスティー」 「おう、ってなんだ?オマエもか?」 「ま…まぁ、ね。……ねぇ?」 「ん?」 「…この後………暇なら、湖まで、散歩にでも……行かない?」 「おう、良いぞ………しっかし…」 「な、なんだ」 「……………似合わねぇなぁ、そのメイド服」 「う、うるさい!」 やっぱり中国は中国のほうが可愛いと思う。 4スレ目 307 「『お前が俺を喰うつもりなら、俺は全力で逃げる。 でもそのつもりがないなら、もっとお前と話がしたい』 …まぁ本音は大体こんな感じ」 美鈴「…」 「どちらかと言えば後者を希望する。いやむしろ熱烈に」 美鈴「貴方って、ほんとに変なやつですね」 「これでも心臓バクバクなんですがわかんねぇか」 美鈴「ふぅ…」 「ってコラ!どこに行く!話はまだ」 美鈴「お茶を淹れてくるんです。二人分」 「彩鈴」11~14Pより 4スレ目 452 なあみんな聞いてくれよ。 今日メイリンに呼ばれて紅魔館にいったんだ。 したらさ、なんかすげーいーにおいがすんの。 なにかと思ってたまたま近くを通り掛かったこぁに聞いたら、 メイリンが料理作ってるんだってさ。 においのするほうに歩いていったらさ、なんか調理担当っぽいメイドがないてたんだ。 どうしたの?って尋ねたらメイリンが厨房を占拠しているから夕飯の準備が出来ないらしいんだ。 とりあえず頭をなでなでしておいた。 そこについにメイリン本人があらわれたわけよ。 俺の顔を見るなり物凄く目を輝かせて俺を引きずるんだ。豪腕で。 ちょっと痛かったけどなんか幸せだったよ。 で、普段は使わないようなでっかい部屋?に通されたんだ。 でっかい部屋にでっかい机があってさ、レミリアお嬢様(とよばれていた人。実際見たのは初めて)とパチェと咲夜さんが座ってた。 いや、勿論机に座ってたんじゃないよ。 レミリア様はなんか嬉しそうだったけど、咲夜さんは少し困っているというか、照れているというか、そんな顔をしてた。 たぶんあれだね。レミリアお嬢様って呼んでるんだから目上の人なんだろうね。 そんな人とおんなじ場所でご飯を食べる機会なんてあんまりないんじゃないかな? それで照れてるんじゃないかな。俺はそう思うよ。 パチェは相変わらず無表情だったね。 でも、この時は本読んでなかった。 流石に食卓までは持ってかないのかな? そんなことを考えてるうちに雑技団よろしく両手と片足と頭に皿を載せたメイリンが跳んできたんだ。 すげー楽しそうだった。 あっという間に食卓にはたくさんの料理が並べられた。 一通り並べ終わるとメイリンはデカイ胸をはって、いっぱい食べてくださいね!って言ったんだ。 パチェが言うには、これはマンカンゼンセキっていう中国の珍味を集めた高級料理なんだって。 ちょっとして、メイリンの顔に小さな傷を見つけたんだ。 俺が気にしてるのがわかったのか、メイリンは笑いながら、少し転んじゃったんです、っていった。 パチェがメイリンに、こんなにいっぱいどこから集めたの?って聞いてた。 料理をよく見ると、怪しげなキノコとか、鳥肉かな?そんなものが入ってた。 あと、肉料理には何の肉を使ったの?ってきいたら、兎の肉を使ってたらしい。 おいしい料理に満足して帰る途中、 赤と青の服ので弓を持った人が殺気立って走り回ってた。 あと、なんか派手な服を着た女の人がヤキトリー!とか言いながら刀持った女の子と一緒に飛んでいった。 あれ、何だったんだろう? 誰か知らない? 4スレ目 674 お前が門を守るなら俺がお前を守ってやる→美鈴 4スレ目 718 僕が此処、幻想郷に迷いこんで幾月たった頃だろうか 行き倒れた僕を助けれてくれた、紅魔館と言う場所の門番をしている紅美鈴さん 彼女に命を助けてくれた恩を返すべく、美鈴さんが暇な時の話相手を僕はしていた時の事だった ぐぅー、彼女のお腹が鳴る 「お腹空いてるんですか? 」 「うん、実は昨日から何も食べてないのよ」 「あのメイド長さんですか? 」 「咲夜さんが侵入者を通した罰だって言って、飯抜きー」 淡々と言う美鈴さんだったけど、お腹が空いて辛そうな彼女を見るのは哀しい 其処で思い出すのは、この前話しかけてきた美鈴さんが元気の無い原因である魔法使いさんの言葉 『中国だけど、人も喰うから気をつけたほうが良いぜ? 』 それこそ人をくったような表情で言う彼女こそ人食いの称号が相応しいと思う だけど今は感謝する、解決策を教えてくれたのだから 「じゃあ、僕を食べませんか? 」 「巫女なら食べてもいい人間との言い伝えがあるんだけどねー」 残念、僕は巫女じゃなかった しかし其処で逆転の発想、僕が巫女になれば良いんじゃないかな? 「それじゃあ、ちょっと行って来ますね」 「いってらっしゃーい」 ~僕移動中~ 「で、いきなりやって来て巫女服くれってのはどう言う用件なのよ? 」 「返すには血の染みが出来てると思うので、もらえれば嬉しいと思ったんですけど」 「そうじゃなくて、何に使うかって聞いてるの。巫女プレイ? 」 巫女プレイが何のか分からなかったけど、巫女さんに美鈴さんがお腹を空かせている事と巫女なら食べる事を説明した それを聞いた巫女さんは、よく分からない渋い表情で巫女服を渡してくれた 着てみると少し大きい 「ありがとう御座います」 「出来れば返してね」 「出来れば洗って返しに来ます」 ~僕移動中~ 「美鈴さん、これならどうですか? 」 「おぶふぁ!? 」 美鈴さんはこっちを見た瞬間に、何故か鼻血を噴き出した 水道に繋いだホースから飛び出した水みたいに噴き出す其れは、凄く綺麗だった 見とれていた僕はすぐにはっとなって美鈴さんに駆け寄る 「大丈夫ですか!? 」 「えぇ、えぇ大丈夫ですとも。凄い元気でました」 美鈴さんはそう言って、僕に向かって笑ってくれた その笑顔に安心した僕は、本来の目的を思い出して美鈴さんに聞く 「僕を食べませんか? 」 「いただきます」 そして僕は ( 隙間による検閲が入りました。見るには『めーりんめーりん』と誤爆してください 4スレ目 734 「幾らでも白黒に撥ねられても大丈夫ですよ。撥ねられた分だけ僕が抱きしめてますから」→美鈴 718の告白にshit!したので書いてみた。こーりんはしていない。 だって、めーりんとか好きだから!! 5スレ目 9 「美鈴。俺はお前を愛している」 シンプルで良いじゃないか